新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 論壇・論調

ドイツの22年成長率は消費好調で1.8% ガス不足警戒は続く 熊谷徹

ベルリンのショッピング街。コロナ禍後の個人消費は好調だ(2023年2月) Bloomberg
ベルリンのショッピング街。コロナ禍後の個人消費は好調だ(2023年2月) Bloomberg

 ロシア産の天然ガス供給停止や前年比7.9%の高インフレ率、世界的なサプライチェーン問題にもかかわらず、ドイツの2022年の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比1.8%だった。

 独保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は、1月14日付紙面で「この数字は、21年の成長率(2.6%)に比べて大幅に低い。しかし去年ドイツがマイナス成長に陥らず、2%近い成長率を記録した理由の一つは、国内消費が4.6%増加したため。コロナ感染防止に関する規制が緩和されたことにより、多くの市民が旅行や外食のための支出を増やしたからだ」と分析している。

 独経済紙『ハンデルスブラット』は、1月30日付電子版で、「連邦統計庁によると、22年10~12月のGDP成長率は経済学者の予測に反してマイナス0.2%。23年1~3月期もマイナス成長になる可能性が強い。2四半期連続でマイナス成長だと景気後退と見なされるが、現状からみるとリセッションは深刻ではなく穏やかになる」と分析した。ドイツ政府は、23年成長率が0.2%前後になると予想している。

 楽観的な予測の理由は、ドイツのガス貯蔵設備の充填(じゅうてん)率が高くなっているために、この冬に懸念されていたガス緊急事態が回避される見通しが強まっているからだ。

 独週刊誌『シュピーゲル』は1月8日付電子版で連邦系統規制庁(BNetzA)のミュラー長官のコメントを伝えた。同長官は「充填率は約90%で真冬にしては極めて高い。ガス需給が逼迫(ひっぱく)して、製造業界へのガス供給量を政府が制限するような緊急事態は、避けられると思う」と指摘した。

 昨年の秋、ミュラー長…

残り745文字(全文1445文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事