ドイツの22年成長率は消費好調で1.8% ガス不足警戒は続く 熊谷徹
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ロシア産の天然ガス供給停止や前年比7.9%の高インフレ率、世界的なサプライチェーン問題にもかかわらず、ドイツの2022年の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比1.8%だった。
独保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は、1月14日付紙面で「この数字は、21年の成長率(2.6%)に比べて大幅に低い。しかし去年ドイツがマイナス成長に陥らず、2%近い成長率を記録した理由の一つは、国内消費が4.6%増加したため。コロナ感染防止に関する規制が緩和されたことにより、多くの市民が旅行や外食のための支出を増やしたからだ」と分析している。
独経済紙『ハンデルスブラット』は、1月30日付電子版で、「連邦統計庁によると、22年10~12月のGDP成長率は経済学者の予測に反してマイナス0.2%。23年1~3月期もマイナス成長になる可能性が強い。2四半期連続でマイナス成長だと景気後退と見なされるが、現状からみるとリセッションは深刻ではなく穏やかになる」と分析した。ドイツ政府は、23年成長率が0.2%前後になると予想している。
楽観的な予測の理由は、ドイツのガス貯蔵設備の充填(じゅうてん)率が高くなっているために、この冬に懸念されていたガス緊急事態が回避される見通しが強まっているからだ。
独週刊誌『シュピーゲル』は1月8日付電子版で連邦系統規制庁(BNetzA)のミュラー長官のコメントを伝えた。同長官は「充填率は約90%で真冬にしては極めて高い。ガス需給が逼迫(ひっぱく)して、製造業界へのガス供給量を政府が制限するような緊急事態は、避けられると思う」と指摘した。
昨年の秋、ミュラー長…
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週刊エコノミスト
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