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高級ホテル運営の世界大手ハイアット・ホテルズ 岩田太郎 

ハイアットリージェンシー大阪が入る大阪市住之江区の建物
ハイアットリージェンシー大阪が入る大阪市住之江区の建物

Hyatt Hotels 商機あるアジア、中でも中国に重点投資/70

 ハイアット・ホテルズは高級ホテルを世界中で展開する米ホスピタリティー大手だ。

 シカゴの実業家、ジェイ・プリツカーが1957年、ロサンゼルス国際空港に隣接するビジネスホテル「ハイアット・ハウス」を買収したのが起源で、62年に株式公開した。2004年、プリツカー一族が所有するホテル運営会社の大半を統合して現在のハイアット・ホテルズが発足した。

 22年12月末現在、運営するホテルが全世界に1263軒、30万4108室に上る世界有数のホテルチェーンとなった。

 会社設立当初からビジネス客を主な顧客層としている。日本でも展開する「パークハイアット」「グランドハイアット」「ハイアットリージェンシー」のほか、「ミラバル」「ゾエトリー」「ドリームズ」などリゾートに特化したブランドも運営し、幅広い需要に対応できるのが強みだ。

著しいコロナ後の回復

 ハイアットの業績は新型コロナウイルスの世界的流行によって深刻な打撃を受け、21年12月期の当期純損益は2億2200万ドル(現在の為替レートで約302億円)の赤字だった。22年に入ると米国の感染状況が下火に向かって消費の対象がモノからコトに移る中、富裕層を中心に旅行需要が旺盛になり、ビジネス需要も急回復した。22年12月期の当期純利益は4億5500万ドル(約619億円)と飛躍的に回復している。

 客室の需給が引き締まったことを受け、22年12月期の平均客室単価(ADR)は前期比22.9%上昇し、267ドル(約3万6000円)に達した。特に客室利用料金の割引や無料宿泊特典が受けられる優遇プログラム「ワールドオブハイアット」の会員約3600万人のADRは非会員より20%ほど高く、常連客が大きな収益源となっている。

 ホテル業界で重要な指標として用いる販売可能客室1室当たりの売上高は22年12月期、前期比60.2%増だった。客室稼働率も順調に回復している。

「持たない経営」で収益増

 出店エリアのうち米国や欧州は成長が鈍化しているが、アジアが好調であり、中国市場を特に重視している。

 ドイツのホテル業界ニュースサイト「THPニュース」の22年12月23日付記事によると、ハイアットは今後、最高級の五つ星と1ランク下の四つ星ホテルを少なくとも352軒開業し、7万7709室を新規供給する計画だという。そのうち200軒はアジアであり、さらにそのうち146軒は中国で開業する。米国の82軒を大きく上回る開業計画だ。記事は「ハイアットは強みがある高級市場で新規出店先の過半数にアジアを選び、アジアシフトを強める」と伝えた。

 マーク・ホプラマジアン最高経営責任者(CEO)は今年2月17日の決算発表会で、過去5年間に売却した自社物件と他社から買収した物件の取引価格は差し引き約38億ドル(約5168億円)の…

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