習政権が戦時体制始動 経済発展の道自ら閉ざす 金子秀敏
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中国の習近平政権が、戦時体制作りに向けて動き出した。習近平国家主席への集権をさらに進める機構改革案は3月の全国人民代表大会(全人代)で審議される。
台湾侵攻の準備か、それとも偵察用の軍事気球を米国本土に飛ばしたように、米国との戦争に備えているのか、まだ全貌は明らかにされていないが、来年1月の台湾総統選挙をにらんでいることは間違いない。
動きの一つは予備役の将校、兵士を増員したことだ。昨年12月30日、全人代常務委員会で「予備役人員法」を成立させ、翌日から施行された。
それまでの「予備役軍官法」に代わるもので、予備役年限を兵士は30歳から35歳までに延長、指揮官や管理、技術など特別の技能を持つ将校は最高60歳まで延長された。法律の名称が「軍官」から「人員」に変更されており、軍人以外に「軍民融合」の民間企業の技術者なども戦時動員の対象となると見られる。
もう一つの動きは2月25日、全人代常務委員会で成立した「軍隊が戦時において刑事訴訟法の一部の規定を調整して適用できることに関する決定」だ。4日後の3月1日から施行された。
全人代の公式サイトに簡単な布告文が記載されただけで、詳細な内容は不明だ。しかし短い説明文によれば、軍は戦時下において逮捕、起訴、判決、処刑など刑事訴訟法で定める司法手続きを状況に応じて簡略化して執行できる。それが正当であるかどうかは中央軍事委員会が解釈権を持つという。
戦時下では、習近平中央軍事委主席による軍事管制が敷かれるということではないか。もし台湾を占領すれば、抵抗する台湾人は中国軍が逮捕、処刑するのだろう。
幽霊から実体機関へ
予備役招集は、規定を作ったというだけではない。2月から全国各地の地方政府に「国防動員弁公室」が続々とオープンした。既存の「国防動員法」で定めるさまざまな動員関連の事務を行う行政機関だが、これまでは部屋も人員もない幽霊機関だった。
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週刊エコノミスト
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