国際・政治ワールドウオッチ

豪産牛肉の対中輸出がブラジルBSEで急増するか 守屋太郎

豪州で主力のアンガス牛 豪食肉家畜生産者事業団(MLA)提供
豪州で主力のアンガス牛 豪食肉家畜生産者事業団(MLA)提供

 牛海綿状脳症(BSE)の発症が確認された世界最大の牛肉輸出国ブラジルが、最大の輸出先である中国などへの輸出を停止したため、2位の輸出国である豪州が恩恵を受ける可能性が浮上している。

 国連統計によると、中国は世界最大の牛肉輸入国であり、2021年の冷凍牛肉輸入量228万トンのうちブラジル産が86万トンと最も多かった。一方、豪産冷凍牛肉の輸入量は19年に28万トンあったが、対豪制裁で21年に14万トンと半減している。

 感染が短期間で収束すれば影響は限定的との見方もあるが、長引いた場合は豪州のほかアルゼンチン、ウルグアイなどからの輸出が急拡大するかもしれない。豪中関係の悪化を背景に中国は20年以降、豪産石炭や牛肉などの輸入を制限または禁止してきたが、2月に石炭輸入を再開するなど雪解けの兆しがある。ブラジル産輸入停止を機に、中国が豪産牛肉の輸入規制緩和に踏み切るのか。豪畜産業界は注視している。

残り175文字(全文574文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月6日号

上がる金&揺らぐドル 史上最高値への地殻変動16 米実質金利との逆相関 崩れた背景に中銀の買い ■村田 晋一郎/谷道 健太19 これで分かった! 「金」の基礎知識 Q&A ■池水 雄一 徹底展望 2023年末 金価格の見通し22 2300ドル 非民主的国家が買い増し 西側への不信で分断拡大 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事