米国の景気悪化は半年後? 成長率が上振れしても楽観できない理由とは 愛宕伸康
本誌が店頭に並んでいるころには、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅が0.25%だったか、それとも0.5%だったのかが判明しているはずだ。
いずれにせよ、米連邦準備制度理事会(FRB)は、昨年3月からの1年間で5%もの利上げを実施したことになる。これだけの利上げを行えば、景気が無傷ということはあり得ない。通常、金融政策が経済に影響を及ぼすまで1~2年かかる。米国の景気悪化が顕在化するのはこれからということになるが、最近、市場エコノミストの見通しが上振れている。
まず、今年に入って昨年のクリスマス商戦が底堅かったことが判明するにつれ、22年10~12月期実質国内総生産(GDP)見通しが大きく上振れた。図1は横軸に見通し対象の四半期、縦軸にその期の実質GDP成長率見通しを取り、昨年12月初時点から今年3月初時点にかけてどう変化したかを見ている。
これによると、昨年12月初時点で前期比年率0.5%だった22年10~12月期の見通しが、月を追うごとに上振れ、最終的に2%台後半になっている。23年1月の雇用統計や米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数も市場予想を上回り、最近では23年1~3月期の見通しまで上方修正する動きが広がっている。
だが、市場は概して冷静だ。ニューヨーク連銀が推定する景気後退確率は現在50%を超え、今年の終わりに米国が景気後退に陥ることを示…
残り505文字(全文1105文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める