教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

昇任試験への挑戦、モチベーション維持の方法教えて/168

メーヌ・ド・ビラン(1766~1824年)。フランスの哲学者、政治家。フランス・スピリチュアリスムの源流とされる。著書に『人間学新論』などがある。(イラスト:いご昭二)
メーヌ・ド・ビラン(1766~1824年)。フランスの哲学者、政治家。フランス・スピリチュアリスムの源流とされる。著書に『人間学新論』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 昇任試験への挑戦、モチベーション維持の方法教えて 毎年昇任試験に挑戦しているのですが、いくら努力しても報われないので落ち込みます。あきらめるわけにもいかないので、どのようにしてモチベーションを維持すればいいのか困っています。(航空会社勤務・40代男性)

A 行為=努力は抵抗とセット。両方を楽しみつつ行為をやめないで

 たしかに努力が報われないと嫌になってきますよね。でも、そもそも努力とはそういうものなのではないでしょうか。世の中、なかなか思い通りにいくものではありませんから。そこで参考にしたいのは、「努力の哲学」あるいは「努力の心理学」と呼ばれる思想を唱えたフランスの哲学者メーヌ・ド・ビランです。

 ビランは、人間が行為する存在であることに着目しました。何かをしようと意志すれば、必ず行為に出るということです。その行為こそが努力なのですが、それは抵抗とセットだといいます。あたかも対象を強く押せば、それだけ強く反発があるのと同じです。

 だとすると、抵抗が大きい方が努力しているということになります。落ち込むということは、抵抗が大きいことを意味しますから、相当努力した証しなのでしょう。大した努力もしていない時は、報われなくても落ち込むことはないはずです。

失敗も一喜一憂の種

 結果が出ないのは残念ですが、試験である限り、ペーパーテストであれ面接であれ、運や相性に左右されます。逆にいうと、続けてい…

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