何事にもさめていて美術館でも名画の前を素通り。物事を楽しめる方法は?/169
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Q 何事にもさめていて美術館でも名画の前を素通り。物事を楽しめる方法は? 私は人からよくさめているといわれます。たしかに何事も楽しめないのです。例えば、お付き合いで美術館に行っても、名画の前を素通りしてしまいあきれられます。どうしたらもっと物事を楽しめるのでしょう?(商社勤務・40代女性)
A 「分散された注意」で、多様な要素を発見し、世界を別様にとらえる扉を開こう
誰しも自分の興味のないことは楽しめないものです。ただ、ほかの人が楽しんでいるということは、何らかの面白い要素があるはずです。それを発見できれば、きっと楽しめると思います。そこで参考にしたいのが、ハンガリー出身の哲学者ベンス・ナナイの考えです。
ナナイは芸術をテーマにしており、真の美的経験とは何かについて論じています。一般に私たちは、絵を見るとその中で一番目立った部分に着目しがちです。そして、その部分だけを見て、美的経験を得た気になってしまいがちです。
青の隣や奥に潜むもの
例えば、これはナナイ自身が挙げている例ですが、黒い背景に青いターバンを巻いた男性が描かれた「青い帽子の男」という名画を見たとしましょう。するとこの青だけに着目してしまうのです。でも、それは絵画を見たのではなく、青という色を見たに過ぎないといいます。
ナナイによると、この場合私たちは「集中した注意」を向けているだけだからです。そうではなくて、真の美的経験を…
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週刊エコノミスト
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