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投資・運用 徹底攻略 新NISA

投資初心者が腕を磨ける「ポイント投資」「1株投資」 向山勇

 本格的な投資を始める前に、経験を積んでおきたいという人向けには手軽にチャレンジできるポイント投資や1株投資がある。

>>特集「徹底攻略 新NISA」はこちら

 最大1800万円まで非課税で投資できる新NISA(少額投資非課税制度)は非常に有利な制度だが、運用益が出せなければその恩恵を受けることはできない。投資経験のない人や初心者は、2024年のスタートに向けて投資の腕を磨いてはどうだろうか。手軽に投資の経験が積めるポイント投資や1株投資を紹介する。

 ポイント投資は、クレジットカード決済などで得られるポイントを投資に利用できるサービスだ。ポイント投資を利用する人は、年々増えている。スパークス・アセット・マネジメントが実施した「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2022」によると、投資家のポイント投資の利用率は18年に18.8%だったが、22年には48.1%まで増加している。特に20代の利用率が高く60.6%(22年)に達している。ポイント投資は仮に損失が出ても、「タダでもらったポイントだから」と気持ちも整理がつきやすい。

 ポイント投資には大きく分けて「ポイント運用」と「ポイント投資」の2種類がある。前者は保有しているポイントをポイントのまま運用して、増えた分はポイントとして利用するもの。証券会社の口座も必要ないので、手軽にチャレンジできる。

 例えば、「PayPayポイント」が利用できる「PayPayポイント運用」は、運用先を五つの中から選択する。選択肢には金で運用する「金コース」、米国のIT企業を中心に運用する「テクノロジーコース」、バランスよく運用する「スタンダードコース」などがある。値動きはコースごとに決められた米国ETF(上場投資信託)に連動する仕組みになっているので、実際に投資している気分が味わえる。他にも楽天ポイントが利用できる「ポイント運用 by楽天PointClub」、Pontaポイントが利用できる「auPAYポイント運用」などのサービスがある。

1株で株主優待の銘柄も

 一方で、ポイント投資は保有するポイントをお金に交換して運用ができるサービスだ。運用後は現金として引き出すこともできるので、ポイントを現金化する方法としても利用されている。ただし、利用するには連携した証券会社の口座が必要となる。

 例えば、SBI証券ではTポイントを1ポイント=1円として投資信託を購入できる。また、同社では多くの投資信託が100円から購入できるので、ポイント数が少なくても挑戦できるのがメリットだ。また、Tポイント以外にもSMBCグループ共通のVポイントやPontaポイントを購入代金に充てることも可能だ。

 楽天ポイントの保有者なら楽天証券で1ポイント=1円として、ポイント投資ができる。購入できる商品は投資信託のほか、国内株式、米国株式などもあり幅広い。ただし、期間限定ポイントを利用することはできない(表1、拡大はこちら)。

 株式投資に挑戦したい人には、1株から投資できるサービスを利用してはどうだろうか。通常の株式投資では100株単位の売買が基本であるため、ある程度まとまった資金が必要になる。例えばトヨタ自動車に投資する場合、3月16日現在の株価は約1800円なので、約18万円の元手が必要だ。これが1株単位で投資できれば、約1800円で株主になることができる。株価にもよるが1万円程度の資金で5銘柄への分散投資も可能になるので、リスク分散しながら投資の練習が可能だ。

 株式投資の魅力の一つは配当だが、1株投資でも受け取りは可能だ。高配当株に投資してコツコツと配当収入を得ることもできる。なかには株主優待が受けられる銘柄もある。

 東京日産コンピュータシステムでは、株主優待としてQUOカード500円分を提供している。22年9月末に実施された株主優待の対象者は「22年9月末日現在の株主名簿に記載または記録された全ての株主」とされ、1株の保有でも株主優待の権利が獲得できた。今後も継続されるかはわからないが、株価は600円程度なので利回りに換算すると80%を超える。1株投資には、通常の株式投資では得られない楽しみもあるわけだ。

売却手数料には注意

 1株単位の株式投資サービスを提供している主な証券会社は表2(拡大はこちら)の通りだが、売買手数料の決め方で大きく二つに分かれる。マネックス証券、SBI証券は「買い付け」の手数料は0円で「売り」のみ手数料がかかる。一方でauカブコム証券は「買い付け」「売り」ともに手数料が必要だ。LINE証券は買値と売値に差(スプレッド)があり、それが手数料となる。1株投資では利益も小さくなるため、株価が多少上昇しても売却手数料でマイナスになる可能性があるので注意が必要だ。

 現在は1株投資に対応していない楽天証券も「かぶミニ」の名称で4月をめどにサービスを開始する予定だ。手数料は固定とスプレッドの併用となる。仮に5000円の売買を行った場合、買い付けと売却を合わせた往復コストは33円で業界最安値になる見込み。

 また、1株投資の場合、売買できる価格が1日の中で決まったタイミングに限られるケースが多く、自分の狙った株価で取引できないことがあるので注意してほしい。

(向山勇・ライター)

ロボアドで資産約1.4倍
 自分で投資先を選ぶ自信がない人は、ウェルスナビの「おまかせNISA」を利用する方法もある。簡単な質問に答えると、ロボットアドバイザーが最適な資産配分を診断し、自動で運用してくれるサービスだ。投資対象は約50カ国、1万2000銘柄で幅広く分散投資が行われる。
 これまでの運用実績を見ると、2016年に100万円+毎月3万円積み立てで運用開始をした場合、23年1月末の時点で資産は約1.4倍(リスク許容度3)に増えている計算だ。リスク許容度は5段階で3は中間的な位置づけだ。「おまかせNISA」は、一般NISAのみに対応しており、つみたてNISAは利用できないが、新NISAのスタートに合わせ、成長投資枠とつみたて投資枠の双方への対応を予定している。(向山勇)

週刊エコノミスト2023年4月4日号掲載

新NISA 投資初心者が腕を磨ける ポイント投資、1株投資=向山勇

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