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国際・政治 ワシントンDC

退役米軍人は1650万人 身近で敬われる存在 峰尾洋一

ベトナム戦争の殊勲者(左)に名誉勲章を授与する米バイデン大統領(中央)(3月3日)(Bloomberg)
ベトナム戦争の殊勲者(左)に名誉勲章を授与する米バイデン大統領(中央)(3月3日)(Bloomberg)

 米国を飛行機で旅行したことのある人は、制服を着た軍人がファーストクラスの客より先に優先搭乗する光景を見たことがあると思う。アメリカン、ユナイテッド、デルタなどの主要米系航空会社はおおむね、これを採用している。デルタ航空は2018年に「優先搭乗は我々のために命を捧げている人々に対するデルタの感謝を形に表したものである」と発表した。日本では想像し難いが、米国ではそれほど軍隊が身近であり、軍人に対する敬意は高い。

1400超の採用拠点

 筆者が最初に軍隊を身近に感じたのは米国に住み始めた1999年のことだ。ワシントンDCから近い国防総省付近のアパートに居を構えたのだが、時折郵便受けに軍の勧誘のビラが入れられていた。退役後の奨学金などの紹介とともに「何億ドルもする最新機器を操れる」との誘い文句が並んでおり、「こうやって勧誘するのか」と感心した記憶がある。米陸軍の採用センターは全米50州のほか、プエルトリコ、グアム、サイパン、さらには欧州、日本、韓国にあり、その数は1400を超える。米国人の知人は「ロシアのように徴兵しないと戦争できない国はダメだ。米国軍は全て志願兵だ」と胸を張る。その自信の裏には、島しょ地域や海外まで張り巡らされた志願兵募集のネットワークが存在する。

 軍隊の動員についても身近に感じることができる。開戦からこの3月で20年がたち、その後の経緯から、今では批判の対象となるイラク戦争だが、開戦当初は少し違っていた。もちろん、開戦への反対意見や抗議活動も多く見られ、翌年の大統領選を控えた選挙活動だという批判もあった。だが、戦争を後押しする声も存在したし、地域によっては、戦没将兵追悼記念日が近かったこともあり、戦勝祝賀会が行われた。第二次世界大戦以降、ライブで戦争にかかる催し物の経験の無かった筆者には、小学校のころ読んだ漫画「のらくろ」で見たちょうちん行列を思い出し、「米国は戦…

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