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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

将来体が動かなくなったら、安楽死したいと思うのですが……/171

ウラジーミル・ジャンケレヴィッチ(1903〜1985年)。フランスの哲学者。死についての哲学のほか、音楽論でも知られる。著書に『イロニーの精神』などがある。(イラスト:いご昭二)
ウラジーミル・ジャンケレヴィッチ(1903〜1985年)。フランスの哲学者。死についての哲学のほか、音楽論でも知られる。著書に『イロニーの精神』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 将来体が動かなくなったら、安楽死したいと思うのですが…… 長生きはしたいのですが、介護や支援がないと自由に動けないというのなら、もはや幸せとは思えません。安楽死を合法的に認めている海外で死を選択するのはいけないことでしょうか?(百貨店勤務・60代男性)

A 医師が担う問題ですが、人は最後の1秒まで悩み抜くことをあきらめてはいけません

 自由に動けない、そして激しい痛みに襲われている。さらには治る見込みもない──。そうなれば、誰しもいったんは絶望を覚えるでしょう。そして、このままならいっそ死んでしまった方がいいと思うのもよく分かります。

 そうした人々を積極的に死に至らしめる安楽死は、人間を絶望から救うための概念だといえるのかもしれません。ただ、その是非については賛否があります。少なくとも日本では安楽死を法律で認めていません。したがって、本人の意思による安楽死に加担した場合、医者であっても刑法上嘱託殺人罪などの対象となります。

 ところが、海外では安楽死を認めているところもあるのです。いい換えると、絶対的な悪ではないということです。はたして安楽死についてどう考えればいいのか。参考にしたいのは、フランスの哲学者ウラジーミル・ジャンケレヴィッチの思想です。

治療の可能性に光見よ

 彼は安楽死に原則賛成する立場から、この問題を哲学的に論じています。ジャンケレヴィッチにいわせると、そもそも私たちは二…

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週刊エコノミスト

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