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米マネーストックの減少は嵐の前触れ 市岡繁男

 米国のマネーストックM2(現預金)は昨年12月から3カ月連続で前年を割り込んだ。過去100年間で5回しかない変事だ(図1)。最初の1921年は失業率が20%超となる不況下で起きた。続く29年は大恐慌、37年は第2次恐慌で、第二次世界大戦はその2年後だ。49年も翌年が朝鮮戦争だった。M2の前年割れは凶兆なのだ。

 今回、M2が減少した主因は銀行預金の流出だ。新型コロナ禍に際し、米連邦準備制度理事会(FRB)は、量的緩和策を拡大し、政府は個人や企業に多額の資金を供与した。かくして急増したM2だが、2021年はその反動で伸び率が低下する。

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