日本の卓球をドイツから支える――梅村礼さん
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元卓球日本代表 梅村礼/79
躍進を続ける日本の卓球界を、ドイツから支える人がいる。アテネ五輪に出場した元卓球日本代表の梅村礼さん。豊富な海外での経験を選手たちに還元しようと、日々奮闘を重ねている。(聞き手=元川悦子・ライター)
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── 今年5月に南アフリカ・ダーバンで卓球世界選手権2023が開催され、日本からは張本智和選手(智和企画)、伊藤美誠選手(スターツ)、早田ひな選手(日本生命)ら有力選手が続々と参加しました。近年の日本卓球界のレベルアップは目覚ましいですね。
梅村 日本オリンピック委員会(JOC)が2008年、(世界で活躍する選手を育成する)JOCエリートアカデミーを作り、張本選手や平野美宇、長崎美柚、木原美悠選手(木下グループ)らの卒業生が今の日本をけん引しています。女子は成果が顕著に表れていますが、男子は水谷隼選手が昨年引退して、張本選手が頭一つ抜けている状況ですね。
ただ、私が課題だと感じるのは、日本選手全体のプレースタイルが同じようになり個性がなくなっていること。対戦相手から見れば対策も立てやすくなります。もっと特徴を磨き、自己判断力や変化への対応力を養う必要があると思っています。
「日本の選手に変化のきっかけを与えたい」
── 梅村さんは欧州の強豪国ドイツに遠征してきた日本人選手の受け入れをサポートする機会も多いですよね。
梅村 はい。特に日本の女子選手は個々のチームで遠征してくることが多く、せっかく海外に来ても現地の選手と打ち合う機会が少なかったんです。ただ、近年は日本のコーチが、日本チームに帯同しているスパーリングパートナーにも、現地の外国籍選手たちと練習させる機会を増やしている感じがします。
ドイツ代表監督も「日本人選手や練習パートナーが現地の選手と打ち合うことはこれまでほとんどなかった。我々にとってもありがたいし、すごくいいことだ」と話していましたね。やはり選手はいろんな経験をして、人間力を高めないとトップになれない。海外で20年近く暮らしている自分が少しでも、変化のきっかけを与えられたらいいと願っています。
── エリートの強化と同時に裾野を広げることも、卓球界の発展につながります。
梅村 それは確かです。ドイツにいるとスポーツのハードルの低さを実感します。卓球台が公園に置いてあったりして、ラケットと球だけあれば誰もが気軽に打ち合える環境があります。大きな駐車場でスポーツ体験会などもよく聞かれ、そこに来た子どもたちが面白さに目覚めて、近くのクラブの練習に参加することも多い。日本が学ぶべき部分は少なくありませんね。
北海道から部ごと岐阜へ
北海道苫小牧市出身の梅村さん。耳の不自由な二つ年上の兄がやっていた卓球に魅了され、7歳から本格的に競技生活をスタートさせた。早い時期から全国各地に転戦し、ジュニアの全国トップに躍り出るなど、卓球界で知られる存在になっていった。高校時代は札幌日大で1年間活動し、2年の2学期から恩師・吉田国男さんとともに卓球部ごと富田女子(岐阜県、現富田)に移るという稀有(けう)な経験もした。 そこで活躍し、卒業後は十六銀行へ。1年後には日本生命に移り、実質的なプロ選手として活動。ここから一気に日本のトップに上り詰めた。だが、96年アトランタ、00年シドニーの両五輪には出場できなかった。梅村さんはその悔しさをバネに、04年アテネ五輪までの間、努力に努力を重ねた。世界ランキングとの戦いにも打ち勝ち、アテネ行きの切符を獲得。世界の舞台に立つという大きな夢をつかんだ。
── 梅村さんが卓球にハマったのは?
梅村 当時の北海道は小学校低学年の選手が少なくて、大会に出ると一発で全国大会に行ける状況だったんです。日本中を回るチャンスに恵まれ、全国に友達ができるのが楽しくてハマりましたね(笑)。所属したのは室蘭市の真卓会というクラブ。兄とともに通いました。その後、兄の高校入学時に家族で北広島市に引っ越しました。中学2年生に上がる自分も転校し、吉田先生に師事して、先生が指導していた札幌日大高校に中学の時から練習に行き、そのまま進んだ形です。
── その後、卓球部ごと岐阜県に移ります。
梅村 吉田先生が超多忙で、学校側と話し合ったものの、練習環境が改善されませんでした。そこで部活ごと引き受けてくれる高校に移る話になったんです。岐阜県には小中学生の強い民間クラブがあり、十六銀行という強豪の社会人チームもあるのに、高校だけはトップレベルがなかった。となると、優秀な人材は外に出てしまいますよね。部全体の受け入れは朗報だったんでしょう。地元は離れましたが、親も応援してくれました。
世界ランクに追われる日々
── 高校卒業後は十六銀行、日本生命でプレーしました。
梅村 特に、実質プロとして卓球に専念…
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週刊エコノミスト
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