経済の本質は戦い ビジネス劇3作を再構築 濱田元子
有料記事
舞台 JACROW#33「経済(せんそう)3篇」
タイトルは「経済」と書いて「せんそう」と読ませる。
政界や企業を舞台に、そこでうごめく人間模様や駆け引きをえぐり出す硬派な会話劇に定評のあるJACROW。今回は、その代名詞ともいえるビジネス劇の過去作品3本を“経済戦争”というテーマで再構築し、同時上演する。「会社とは」「働くとは」を問いかける。
「昭和の働き方は、『働き方改革』のもとで一蹴され、追い打ちをかけるように感染症が猛威を振るっている」。カンパニーの代表で脚本・演出を手掛ける中村ノブアキは、企業や労働者を取り巻く現状をそう分析する。自身も会社勤めのバックグラウンドを持つだけに、リアリティーと説得力あるセリフで濃密な世界を紡ぐ。
2015年初演の「ざくろのような」は、世界一の技術を誇りながら業績不振にあえぐ電機メーカー、山東電機の次世代電池事業部が主な舞台。世界最小の車載バッテリーの開発競争が繰り広げられる中、松川電器による会社買収が決まり、社員たちに動揺が広がる。
エンジニア側と経営者の思惑のすれ違いが現場にあつれきを生み、そこに中国企業の影もちらついてくる。
18年初演の「焔~ほむら~」では、電気自動車のバッテリーの航続距離を延ばして市場で優位に立ちたい自動車メーカー、イチバ自動車が、下請けの電池メーカー、カワマツエナジーに無理難題を押し付ける。
企業間や職場内における上下関係や、倫理のゆがみがどういう結果をもたらすのか。こちらも臨場感たっぷりだ。同時に、「働き方改革」が…
残り802文字(全文1452文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める