新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 ワシントンDC

多重事実婚のポリアモリー マサチューセッツ州で権利を認める条例拡大の動きも 峰尾洋一

2015年に米連邦最高裁が同性婚を憲法上の権利と認める判決を出した際は、歓迎するパレードが各地で起きた。ポリアモリーもうねりを起こすのか
2015年に米連邦最高裁が同性婚を憲法上の権利と認める判決を出した際は、歓迎するパレードが各地で起きた。ポリアモリーもうねりを起こすのか

 生物学上の1組の男女が出会い、2人は結婚し、夫婦になる。子供が生まれ、彼らが両親になる。こうした一昔前までの常識でくくれない新たな形態が生まれ、徐々に広がっている。

「ポリアモリー」。オックスフォード英語辞典に、この単語が掲載されたのは2006年。その定義は「関係者全員の合意を前提に、3人以上によって、性的行為を伴う恋愛関係を実践すること」。これは、婚姻を伴わない点で米国でも違法とされるポリガミー(多重婚)と異なる。訳すと「多重事実婚」とでもいえようか。

 ポリアモリーでは、異性間・同性間・女性や男性とノンバイナリー(男性・女性という明確な性自認のない)間といった、柔軟な性自認に基づく関係の3人以上がパートナーとなるケースもある。

 ここ数年、ポリアモリー関連の動きが主要メディアで取り上げられるようになった。きっかけの一つは、20年7月、マサチューセッツ州サマービルで制定された条例である。同条例はポリアモリーを婚姻に準ずるものと認め、夫婦間と同様に、1パートナーの医療保険で他に2人以上のパートナーをカバーする道を開いた。一般的なドメスティック・パートナー(事実婚で同棲(どうせい)する2人)の権利を認める動きは、地域差はあれ拡大しているが、ポリアモリーまで広げたのは、この条例が全米で最初である。

 条例成立には新型コロナウイルスの感染拡大が関連する。医療アクセスの有無が生死を分ける環境下で、保険カバー拡大を認める動きにつながった。

 同様の動きは同州内で広がっている。21年3月にはケンブリッジで、翌4月にはアーリントンで、同様なポリアモリーの権利を認める条例が施行。サマービルでは、今年に入りポリアモリーへの差別を禁止する新たな条例も可決された。

増える関連する裁判

 公的支援に並行して、ポリアモリーに係る裁判も目立ってきている。20年、カリフォルニア州で、ポリアモリー関係の男性3人が代理…

残り533文字(全文1333文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事