まもなく整う「デフレ脱却4条件」 愛宕伸康
4月の消費者物価指数(全国)は、振れの大きい生鮮食品及びエネルギーを除いたベースで前年比4.1%まで上昇した。これは第2次オイルショックの影響が残る1981年秋以来の高い伸びである。欧米ほどではないが日本でも立派なインフレが生じている。
しかし日銀の公式見解ではインフレと言わない。よく聞くフレーズはこうだ。例えば、黒田東彦前日銀総裁は2022年12月26日の講演で「わが国は『物価が持続的に下落する』という意味でのデフレではなくなっています」、植田和男総裁も5月19日の講演で「物価が持続的に下落するという意味でのデフレではない状態が実現しました」と述べている。判で押したように「物価が持続的に下落するという意味での」という枕ことばをつけたうえで、デフレを控えめに否定するだけだ。なぜか。
答えは簡単。物価のほかにデフレを示唆する指標が残っているからだ。デフレから脱却したと宣言するには、是非はともかく、四つの指標がそろってプラスにならなければならないというデフレ脱却の4条件を満たす必要がある。
4指標とは「消費者物価指数」「GDPデフレーター」「GDPギャップ」「単位労働コスト」だ。これまでその全てがプラスになっているわけではなかった。そろそろどうか、確認してみよう。
政府・日銀声明も修正で…
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週刊エコノミスト
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