実質賃金のプラス転化は24年か 斎藤太郎
厚生労働省の4月の毎月勤労統計によると、現金給与総額(1人当たり)は前年比0.8%増となり、3月の同1.3%増から伸び率が鈍化した。中身を見ると、所定内給与は同0.9%増と3月の同0.5%増から伸びを高めたが、所定外給与は同0.7%減と3月の同1.2%増から減少、特別給与も同0.7%増で3月の同11.6%増から伸びが低下したことが全体を押し下げた。
春闘の結果との連動性が高い一般労働者の所定内給与は同1.4%増で、3月の同1.1%増から伸び率を高めた。今年の春闘のベースアップが2%程度と前年の0.5%程度から大きく高まったことからすれば改善幅は小さいが、これは春闘で決まった改定後の賃金が初めて支給される月が必ずしも4月ではないためだ。
厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によれば、改定後の賃金が初めて支給される月が4月の企業は4割弱で、5~7月の企業が4割を超える(図1)。年度替わりの賃金改定の影響は5月以降も段階的に表れてくる可能性が高い。4月の名目賃金は、一部で期待されたような上昇ペースの加速は見られなかった。しかし、賃金改定の影響が反映される夏場にかけて伸びを高め、所定内給与に所定外給与、特別給与を加えた現金給与総額は2%台まで加速することが予想される。
高まる物価上…
残り548文字(全文1098文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める