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投資・運用 円安インフレ襲来

定期預金に目減りリスク 配当×優待で対策を 大山弘子

 手持ちの現金の価値が実質的に目減りするリスクがあるインフレ。いかに資産を防衛するかを見極める目を育てたい。

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 4月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は3カ月ぶりに拡大し、日本はインフレ局面に入ったとみられる。インフレ下ではお金の目減りが心配になる。円安も進行し、原油や小麦などの高騰は家計を圧迫しかねない。資産運用で家計を守る方法を提案したい。

 インフレに強い資産、弱い資産を一覧にまとめた(表)。強い資産の代表格は株式投資だ。インフレは基本的には企業の売り上げや利益を押し上げる方向に働き、株価に直結する。ただ、どんな銘柄を買うかは十分検討しなければならない。原材料価格が高騰しているが、その分を価格にちゃんと転嫁しているかを見極めるとともに、企業の商品やサービスが生活で欠かせないものかという視点で選んではどうか。

 中長期の保有が前提なら、配当利回りが高い銘柄を狙うのもいい。東京証券取引所は、株価純資産倍率(PBR)1倍割れの是正を求めており、株主還元の改善などが今後一層期待される。

 東証プライム市場の平均配当利回り(1株当たりの配当金を1株当たりの価格で割った数値)は約2%だが、それを上回るレベル、例えば配当利回りが3%以上あることを目安に考えたい。配当と株主優待品を合わせれば10%を超える銘柄もある。配当×優待銘柄を持っていれば、一定期間ごとに配当金が入るだけでなく、株主優待で日用品や飲食店の買い物優待券などが得られる銘柄を選べば、家計の節約にも役立つはずだ。ただ、配当金や株主優待を得るには「権利確定日」に、株主名簿に登録されている必要がある。そのためには、権利確定日の2営業日前にあたる「権利付き最終日」までに株を買わなくてはならない。ただし、株主優待の内容が魅力的であっても業績の悪い銘柄は避けたほうが無難だ。

 銘柄選びに自信がないなら投資信託の積み立てを始めてみてはどうだろうか。投資信託には、指数を上回る収益獲得を目指すアクティブ投信や、日経平均株価などの株価指数に連動するインデックス投信があるが、初心者にはインデックス投信を薦める。指数を構成する銘柄への分散投資ができるうえ、一般的にアクティブ投信と比べて運用コストが安いメリットがある。

 株式や投信に投資する際には、NISA(少額投資非課税制度)を使わない手はない。株式や投信などの値上がり益や配当・分配金が非課税になるという制度だ。NISAを使わない場合は株式や投信の値上がり益や配当・分配金に約20%の税がかかる。2024年からの「新NISA」は現行より優遇内容が大幅に拡充する。リターンがある場合はNISAを使えばかなりのメリットになる。

変動10年国債も

 そもそも元本割れが心配という人には、個人向け国債の「変動10年」という選択肢もある。半年ごとに適用利率を見直す満期10年の金融商品だ。インフレ率に連動して金利が変わる仕組みで、まさにインフレ対策にはうってつけだ。最低金利は0.05%でほぼ元本割れの心配もないだろう。

 変動10年のうち、6月に募集された第159回(7月18日発行)の金利は0.29%(税引き前)だった。これを100万円分購入した場合、半年後に得られる利息は計算上、約1450円となる。「少ない」と思うかもしれないが、メガバンクの定期預金(1年)の金利はたった0.002%。100万円を1年預けたとしても、利息はわずか20円(税引き前)だ。定期預金に資産を眠らせておくよりはメリットが大きい。発行後、1年経過すると中途解約できるが、直前2回分の利子相当額(税引き前)に約0.79%を掛けた金額が差し引かれるので注意したい。

(大山弘子・マネーライター)


週刊エコノミスト2023年7月11日号掲載

円安インフレ インフレから家計を守る 定期預金は目減りリスクも 「配当×優待」銘柄で対策を=大山弘子

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