超党派で強まる対中強硬論 首脳会談探るバイデン政権に圧力 西田進一郎
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社会の分断が目立つ米国では、銃犯罪や人工妊娠中絶、人種差別をはじめ、あらゆる問題への対応を巡って民主党と共和党が激しく対立している。両党の議員らが党派を超え、歩調を合わせて取り組んでいる分野は少ない。そうした珍しい例の一つが、軍事、経済両面で威圧的な行動を取っている中国への対応だ。
6月のある日、連邦議会議事堂で小さな催しが開かれた。中国で民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件から34年を記念したものだ。議事堂1階の小さな部屋の中央に楕円(だえん)形の机が置かれ、その周りに下院議員ら10人と事件後に米国に逃れた民主活動家2人が座った。
下院議長主導で特別委
活動家の一人は、民主化を求める活動で2度有罪判決を受け、計18年にわたって服役したという民主化運動の重鎮、魏京生さん。もう一人は、天安門事件の際に最後に現場から追い出された集団にいたという李恒青さんだ。ともに、現在の中国の人権状況への懸念を示し、米国が「民主主義世界のリーダー」として中国に改善を強く迫るよう求めた。
主催したのは、下院のマッカーシー議長(共和党)と「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」のメンバーだ。委員会は、マッカーシー氏が今年1月の議長就任直後に設置した肝煎りの組織だ。マッカーシー氏は冒頭「我々は多くの問題で戦っていると見えているかもしれないが、自由に関して、中国に関してはワンボイス(一つの意見)だ。党派は違えど一致結束していることが分かるだろう」と胸を張った。隣には、同委のギャラガー委員長(共和党)、その隣には民主党筆頭委員のクリシュナムルティ議員が座った。中国に厳しい姿勢で対処すべきだと主張してきた2人だ。
この特別委は法律を作ったり、可決したりする権限はなく、調査と政策提言を行うことが唯一の権限だと設置の際の決議に記されている。5月には、中国当局による少数民族ウイグル族弾圧問…
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週刊エコノミスト
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