改正反スパイ法施行の中国 安全保障の強化さらに 真家陽一
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広島市で5月に開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)。ウクライナのゼレンスキー大統領の参加が大きなサプライズとなったが、サミットの陰の主役は中国であり、多くのテーマで「台頭する中国とどう向き合うか」が隠れた焦点だった。
サミットのコミュニケ(首脳宣言)は「我々の政策方針は、中国を害することを目的としておらず、中国の経済的進歩および発展を妨げようともしていない。成長する中国が、国際的なルールに従って振る舞うことは、世界の関心事項」と指摘。その上で「我々は、デカップリング(分断)または、内向き志向にはならない。同時に、我々は、経済的強靱(きょうじん)性にはデリスキング(リスク低減)および多様化が必要であることを認識する」と表明するなど、中国に対して一定の配慮が示された。
これに対し、中国側は台湾や香港・新疆・チベット、東シナ海・南シナ海、経済的威圧などに関わる首脳宣言の主張に強く反論。デリスキングに対しても「何がリスクなのか。どのようにしてデリスキングするのか。中国が懸念するのはデリスキングの名の下に実際にはデカップリングをすることだ」(謝鋒・中国駐米大使)、「中国が世界にもたらすものは協力とチャンスだ。デリスキングの名の下で、実際は脱中国を進めるなら、それは脱協力、脱チャンスだ」(束珏婷・中国商務省報道官)など反発している。
中国包囲網や圧力を強める西側諸国への対応が喫緊の政策課題となる中、党の安全保障政策を担う中央国家安全委員会の会議が5月30日に北京で開催された。習近平国家主席は会議で「国家が安全保障面で直面している複雑で厳しい情勢を深く認識しなければならない」と強調した。
会議では「中国が直面する安全保障問題の複雑性や困難性が著しく高まっており、強い風波、さらには危険な荒波による重大な試練に耐える準備をしなければならない」との見解が示された。「政治の安全保障を守る…
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週刊エコノミスト
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