米でインフレ目標2%への疑問が再燃 「3%妥当」説も 岩田太郎
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米連邦準備制度理事会(FRB)は物価安定の使命を果たすため、インフレ率2%を最適レベルとして金融政策の目標に定め、達成のために利上げを繰り返している。だが米論壇では、2%の目標に根拠があるのか、さらなる金融引き締めの必要性があるのか、議論になっている。
独保険大手アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は7月21日にブルームバーグのインタビューで、「FRBが2%の目標を達成することに焦点を当てている場合、(7月の0.25%の利上げに続き)9月の再利上げの可能性を開く。FRBが2%の目標にこだわるあまり、米国は(相次ぐ利上げによって、起こる必要のない)景気後退に追い込まれる恐れがある」と述べた。
エラリアン氏は、「FRBはデータに依存し過ぎて戦略的なものの見方ができなくなっている、いや、そうした能力がない」と斬り捨てた。同氏は従来から「2%のインフレ目標は適切ではない」と主張しており、今回のインタビューでも、「今後5~10年の米国のインフレ目標は3%付近に設定される必要がある」との見解を表明した。
世界最大の資産運用会社である米ブラックロックの年金投資チーフであるリック・リーダー氏は7月14日の経済ポッドキャスト「ホワット・ゴーズ・アップ」に出演し、「なぜインフレ率を3%から2%に下げるだけのために、(利上げで経済を冷やし、現在の低失業率を犠牲にして)100万人を失業させなければならないのか理解できない。利上げは実行する価値がない」と語った。
米資産運用企業マホーニー・アセットマネジメントのケン・マホーニー最高経営責任者(CEO)も7月20日の米ヤフー・ファイナンス・ライブで、「2%のインフレ目標は愚かしい。FRBの机上のゲームに付き合わされて、どれだけの人が職を失わなければならないのか。多くの人は少々物価が高くても、仕事を守りたいのだ。インフレ目標は3%が適…
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週刊エコノミスト
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