週刊エコノミスト Online編集後記

北條一浩/桐山友一

編集部から

「夜のパン屋さん」というプロジェクトがある。ホームレスの人々が路上販売することで知られる雑誌『ビッグイシュー日本版』による試みだ。

 仕組みはこうだ。『ビッグイシュー』を販売しているホームレスの人や元ホームレスの人が、賛同してくれる店に売れ残ったパンを取りに行く。そして複数のパン屋さんから集めたパンを、午後7時からあらかじめ決められた販売所で売り始める。

 発案者は料理研究家の枝元なほみさん。幸い、話す機会を得たが、当初は企画書を持って一軒ずつパン屋さんを回ったというから頭が下がる。

 仕事帰りにパンを買おうと思っても買えないことが多い。パン屋さんはかなりのパンを日々捨てていて、それはフードロスそのものだ。このいずれをも解消し、ホームレスの人向けに雇用も創出する。ありそうでなかった、工夫に満ちた素晴らしい仕事だと思う。

(北條一浩)

 5歳の長女が今、夢中になっているのが、児童書シリーズ「かいけつゾロリ」(ポプラ社)だ。キツネの主人公ゾロリが、イノシシの双子の子分と一緒に奇想天外な冒険を繰り広げる。漫画と絵本の中間のような構成で、文字が読めるようになった年齢にぴったりだ。

 子どもができるまで数十年、児童書は読んだことがなかったが、読み聞かせていると夢中になる理由が分かる。強烈なオナラといった子どもが喜ぶ話をちりばめるのもそうだが、どのページでも「ところが……」など次をめくりたくなる文章で締めくくり、ストーリーをぐいぐいと展開させている。

 ゾロリシリーズは1987年の第1作から数えて、今年7月までで73巻。作者の原ゆたかさんは現在70歳だが、これほど長く子どもに愛される話を生み出せるのは驚異的だ。お隣の韓国でも人気は高く、児童書のすごさを思い知っている。

(桐山友一)

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