週刊エコノミスト Online編集後記

和田肇/金山隆一

編集部から

「脱炭素はもう古いですよ、世界はすでにTNFDで動いています」──あるスタートアップ企業の30代の社長にこう言われたことがある。TNFDとは、「自然関連財務情報開示タスクフォース」のことで、脱炭素も含め生物多様性を回復軌道に乗せる「ネーチャーポジティブ」に、資金を還流させることを目指し、国連などが設立した組織だ。

 今夏は世界各地で異常な高温が記録された。国連のグテレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した」(7月27日の米ニューヨークでの記者会見)と述べている。先進国の企業は脱炭素の取り組みを加速させており、日本も岸田文雄首相が、脱炭素対策に10年間で官民合わせて150兆円の投資を促すことを表明している。

 だが岸田首相よ、遅いのだ。世界の現状認識は、すでにその先に進んでいる。

(和田肇)

 大型のショッピングセンターは時代とともにロードサイド、コンビニと消費者が行きやすいところに近づき、最後はネット通販が玄関まで届けてくれるようになった。

 銀行も同じで支店、ATM(現金自動受払機)、インターネットバンキングで個人のパソコンまで近づき、ネット通販の普及とともにスマホでカード決済どころか銀行口座から引き落とせるところまできた。これをエンベデッド・ファイナンス(組み込み型金融)という。

 ヤマダデンキやJRがネット銀行の協力で銀行業に乗り出し、買った瞬間にカードより安く速く決済が完了する。買い物アプリのなかに銀行機能が部品として組み込まれる世界だ。

 こうなると消費者が普段触れることが多いアップルやグーグルが圧倒的に有利。国に支配されるよりましか。次号の第2特集は「誰が銀行を殺すのか(仮題)」です。

(金山隆一)

 ■次号のエコノミスト

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9/19・26合併号 9月11日(月)発売 定価990円

10/3号 9月25日(月)発売 定価850円

10/10・17合併号 10月2日(月)発売 定価990円

【訂正します】

本誌8月8日号13ページ「有害な硫化水素やヒ素が噴出 北海道ニセコの地熱発電工事」で、三井石油開発が行っている掘削工事は既存の地熱発電技術による事業で、ACLを用いていませんでした。また、同地域でACLの実証事業を実施するかどうかは同社が今後検討します。

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