支持率下落の中、守りの改造へ 「MKK」3氏の去就が焦点に 人羅格
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内閣支持率の下落が続く中、岸田文雄首相は内閣改造・自民党役員人事で政権の立て直しを迫られている。誰を登用するかよりも、茂木敏充幹事長、河野太郎デジタル担当相、木原誠二官房副長官の3氏を続投させるかが焦点という、守りの改造である。
猛暑と裏腹に、政治が冷めた夏だった。内閣支持率が下げ止まらない。時事通信の8月上旬調査では26.6%と前月より約4ポイント減った。支持率は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題や閣僚の相次ぐ更迭で、昨年末ごろにも顕著に下落した。各種世論調査の数字はほぼ、その当時の水準に逆戻りした。
政権への失望感を反映
国会が閉じ、野党の批判を浴びにくい中で支持率が下落し続ける珍現象である。マイナンバーカードを巡る混乱、とりわけ来秋に予定する健康保険証廃止とマイナカードへの一体化方針が反発を呼んだことは確実だろう。生活になじんだ保険証に代わり、各種の機能をひもづけされるカードを紛失せず、携帯し続けることの負担感と不安は大きい。
首相はいったん、保険証廃止の期限延長に動こうとした。だが、「6月に法整備したばかりだ」「逆に混乱する」と政府内の抵抗にあい、見送った。マイナカードを持たない人などに発行する「資格確認書」拡充で収拾を図る。
8月4日の記者会見で首相はこの方針を説明したが、一方で将来の延期判断になお、含みを持たせた。迷走の途中経過をわざわざ、さらしたようにみえる。
ただし、マイナカードだけで民意がかくも離反するとは考えがたい。政権への失望感や物価高へのいらだちが沈殿している。
首相が年始から政権テーマに据えていた少子化対策は国民から評価されていない。男性の育児休業取得など、方向性に見るべき点はある。だが、肝心の児童手当拡充のボリュームが乏しい。
対策は焦眉(しょうび)の急だと言いながら、手当の引き上げ支給は、再来年からだ。なぜ、せめて来春からの実施にこだわらないのか。理解できないし、説明不足だ。
自民党の支持率も低下傾向にある。党女性局のフランス研修が「観光旅行」と批判された騒動も影響しているとみられる。
問題の本質は、国会議員の自己評価と、有権者が実際に議員をどう見ているかの認識のギャップだったと思う。国民の大半は物価高で生活が圧迫され、職場や家庭で日々「コスパ」を迫られている。議員活動への支出すら「ムダ」とみる風潮がある中で、浮かれ気味のSNSが拡散したらどうか。
与党の救いは、野党にも上昇機運が乏しいことだ。日本維新の会の支持率は、各種調査で立憲民主党を引き離す。だが、「突風」の勢いとまではいいがたい。
内閣支持率を見る限り、年内解散はさすが…
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週刊エコノミスト
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