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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

都会を離れ、地域限定社員の道を選ぶかどうか悩んでいます/188

エドワード・レルフ(1944年~)。カナダの地理学者。狭義の地理学を超えた哲学的考察で知られる。著書に『都市景観の20世紀』などがある。(イラスト:いご昭二)
エドワード・レルフ(1944年~)。カナダの地理学者。狭義の地理学を超えた哲学的考察で知られる。著書に『都市景観の20世紀』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 都会を離れ、地域限定社員の道を選ぶかどうか悩んでいます 数年前に転勤で都会から地方の小さな町にやって来たのですが、この場所がすごく気に入りました。地域限定社員になって住み続けることもできるので、どうしようか悩んでいます。故郷はまた別のところなのですが。(営業職・30代男性)

A その土地は、自身のアイデンティティーの源泉となる場所ですか?

 今、地域限定制度、あるいは勤務地限定制度が導入されつつありますね。会社によっては、待遇は都会と同じなので、物価の安い地方の方が暮らしやすいというメリットもあります。

 ただ、自分としては積極的に選んだにもかかわらず、周囲は必ずしもそのように肯定的に見てくれるわけではありません。都会の方が上だという風潮や偏見、思い込みがありますから。私も山口県に住んでいるのでよくわかります。

 そこで参考にしたいのが、カナダの地理学者エドワード・レルフによる場所の概念です。彼によると、場所とは「生きられる世界の直接に経験された現象」だといいます。それゆえにアイデンティティーの重要な源泉となるというのです。つまり、場所は単なる抽象的なものではなく、人の活動や人生と大きく関係しているのです。

真に生きたと思える所

 ただ漫然と住んでいれば、それでアイデンティティーが形成されるわけではありません。そのために必要な要素として、レルフは①静的な物質的要素、②人間の活動、③意味、の…

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