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国際・政治 ワシントンDC

全米雇用統計のサンプル世帯になって考えた 清水梨江子

8月の雇用統計の結果についてコメントする米バイデン大統領(Bloomberg)
8月の雇用統計の結果についてコメントする米バイデン大統領(Bloomberg)

 初夏のある日、ワシントンDCにある我が家のチャイムが鳴った。玄関先に出てみると、タブレット端末を持った男性が、にこやかに顔写真が入ったIDを見せながら、「雇用統計の調査だ」と告げてきた。

 雇用統計は、非農業部門就業者数や失業率など雇用情勢を示すデータであるのはもちろんのこと、個人所得や消費、更には為替にも影響する重要な指標と見なされている。雇用統計は「事業所調査」と「家計調査」から成り立っており、我が家は家計調査のサンプル世帯に選ばれたのだという。

 家計調査は、全米50州とワシントンDCが所在するコロンビア特別区の中からサンプル世帯として抽出された約6万世帯を対象に行われる。調査に応じたサンプル世帯は、「19日」が含まれる週に4カ月連続でインタビューが行われた後、8カ月間の休みを経て、再び4カ月連続でインタビューが実施され、17カ月目にようやくお役ご免となる。初月こそ戸別訪問方式で実施されるが、2カ月目からは希望すれば電話でのインタビューに切り替えることができる。

 初月の質問事項は極めて細かく、世帯の中で16歳以上かつ就労している者は何人いるか、(就労していると回答した全員に対して)国籍はどこか、出生地はどこか、両親の国籍はどこか、前週の勤務先はどこか、当該勤務先にはいつから勤めているか、フルタイムかパートタイムか、前週の総労働時間は何時間か、出社と在宅勤務はそれぞれ何時間であったか──などが問われ、インタビュー時間はゆうに45分を超えた。2カ月目以降は、世帯に関する基本情報に変更点がない限り、やや簡略化されたインタビューとなるが、それでも毎回20分を超える。

 こうして集められた雇用統計は毎月第1金曜日の午前8時半に発表され、発表と同時にニュースのヘッドラインを飾るのが常である。特に注目されるのが失業率であり、この増減は米国の景気を占うバロメーターと見られている。

「実態反…

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