隣人の子どもに依頼する芝刈り費用の切実事情 嶋田恵一
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「近くで用事があり、あなたの家の前を通りましたが、芝生が伸びているようです。もしよかったら庭師を紹介しましょうか」
4月末にワシントンDC郊外の家に入居して約1カ月後。契約した不動産屋から届いたのが、このショートメッセージだった。
2、3日後に仕事から帰ると、今度は玄関ドアの郵便受けに紙がはさんであった。「ようこそ、ご近所さん。生活で何か困ったことがあったら、いつでもいいので聞いてください。ところで、庭の芝生が伸びているようですが、大丈夫ですか」。お隣さんからの親切な手書きのメモだった。
お隣さんとは何日か前、裏庭でゴミ出し中に目が合って、あいさつを交わしたばかりだった。メモには丁寧に電話番号とメールアドレスが書かれている。早速、メールで連絡を取ってみた。「芝生が伸びていることは、この町ではそんなに問題なのでしょうか」
「問題ではないけれど、だいたい近所の人たちは、多い人で1週間に1回、少なくとも2週間に1回は芝生を刈っていると思いますよ」。玄関を出て、見渡してみると、確かに近所の方は前庭の芝生をきれいに手入れしている。裏庭も同じだろう。
一方、我が家の芝生は、10センチ弱伸びていた。確かに気にし始めると、とても気になる。「我が家は身の回りの手入れに無頓着です」と周りにアピールしているようにも見えてきた。
庭師不足で料金は倍に
不動産屋から連絡を受けた時、「1回芝刈りをすれば、当分は必要ないだろう」と思い、軽い気持ちですでに庭師の紹介をお願いしていた。芝刈り費用は1回45ドル(約6700円)と言われていたが、もし芝刈りのシーズンである4~9月の半年間、毎週、もしくは隔週に45ドルの費用が発生するとすれば、「聞いてないよ」と言いたくなるような出費になる。
翌日、同じ町に住んでいる職場の同僚に芝生の手入れについて聞くと、確かに毎週もしくは隔週に1回手入れをしているとのこと。ただ、4…
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週刊エコノミスト
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