防災・減災の向上目指す中国 インフラ強靱化が課題 真家陽一
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中国では国連が定めた10月13日の「国際防災の日」に合わせ、例年さまざまな活動が実施されている。
今年も国家防災委員会が9月28日、「強靭(きょうじん)性のある未来を共に築く」をテーマに防災の日に関する通知を公布し、防災・減災活動の意義を認識することや、その宣伝・教育活動の実施のほか、末端幹部の防災・減災意識の向上──などに関わる活動を展開するよう地方政府や関係部門に求め、11月5日までに報告書を提出することを指示した。
中国が防災・減災を重視するのは、自然災害が世界で最も深刻な国の一つとされるためで、これまでもさまざまな取り組みが進められてきた。2018年3月には、自然災害などの危機対応業務に当たる「緊急管理省」を新設。22年2月には同省が「『第14次5カ年計画(21~25年)』国家緊急体系計画」を公布した。
計画は中国が直面する問題点として、①リスクや危険が依然として際立っている、②予防・制御の難度が増している、③緊急管理の基盤が脆弱(ぜいじゃく)──といった3点を指摘。防災・減災活動の適切な実施により、25年までに緊急管理体制を整え、自然災害に対する防御レベルを大幅に向上させることを目標として掲げている。
習近平国家主席も22年10月に開催された中国共産党第20回全国代表大会(党大会)の報告で、防災・減災・災害救助とともに、突発的な事象への対応力を強化する必要性を改めて強調した。
一方、こうした取り組みにもかかわらず、今年7月下旬から8月上旬にかけて台風5号の影響による大雨で、京津冀(北京市・天津市・河北省)地域や華南地域などが深刻な水害に見舞われ、多くの死者・行方不明者が発生、復旧・復興に多額の資金支出を余儀なくされたことは記憶に新しい。
国家防災委員会の通知もこうした状況を踏まえ、予防措置をさらに改善して災害早期警戒メカニズムを導入し、リスクを断固として回避しな…
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週刊エコノミスト
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