新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

強気企業スタバから学ぶ中国市場との向き合い方 岸田英明

2000年の上海初出店以降、中国市場で拡大するスターバックス(北京で2023年2月3日)Bloomberg
2000年の上海初出店以降、中国市場で拡大するスターバックス(北京で2023年2月3日)Bloomberg

 中国経済は「5%前後」という2023年の成長目標(対前年比実質GDP成長率)のペースを維持しているが、住宅不振の長期化などを理由に、投資家らは景気失速への警戒を強めている。実際に国際収支統計上は資金流出の動きも確認できる。1〜6月の中国の直接投資は634億ドルの純流出で、つまり対内直接投資(海外から中国への投資)が対外直接投資を大きく下回った。前年同期は733億ドルの純流入だった。

 一方で、米国企業団体の上海米国商会が9月に発表した会員企業向けアンケートの結果を見ると、今後5年間の中国事業見通しを楽観する企業が、前年調査比で微減したものの、52%でなお5割を超え、投資拡大の意向を持つ企業は25%から31%へと増加している。少なくとも米国企業の間では「事業の中国離れ」がただちに広がることはなそうだ。

 テスラやスターバックスなど一部の米国企業は「中国離れ」どころか、強気の姿勢だ。スターバックスは現在、中国250都市で約6500店舗を直営展開する。19年末時点では4123店舗で、コロナ禍でも急拡大した。ナラシムハンCEOは9月、中国メディアに「(我々の)中国経営戦略は不変だ」と語った。25年に300都市で9000店舗を展開し、22年比で売り上げ倍増、営業利益4倍という従来の目標を維持するという。

 スターバックス中国のカフェラテはトールサイズが1杯32元(約660円)で、日本(490円)や米国(約440円)より高い。こうした価格設定でも急成長するのは、同社が都市化や中間層拡大の波をうまく捉えた結果だ。ナラシムハンCEOは「(年間の)1人当たりコーヒー消費量は日本の200杯と比べ、中国は12杯に過ぎない」と、のびしろを強調する。中国では22年をピークに人口減少が始まったが、都市人口は30年代にかけてなお拡大が続く。

 興味深いのは米中関係が悪化する中でも、同社が中国で大規模なボイコッ…

残り588文字(全文1388文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事