田中角栄没後30年 緻密な会話で栄枯盛衰紡ぐ 濱田元子
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舞台 JACROW「闇の将軍 四部作」
政治家・田中角栄が亡くなって、この12月で30年になる。日本列島改造論をぶち上げ、首相になったものの、ロッキード事件で足元をすくわれることになる。その後は「目白の闇将軍」と呼ばれ、日本の政治に大きな影響力を及ぼした。
「闇の将軍」シリーズは、そんな希代の政治家の栄枯盛衰を緻密な会話で紡ぐ、ダイナミックな「政争劇」だ。
劇作家・演出家の中村ノブアキが代表をつとめるJACROWは「大人が楽しめる小劇場」をコンセプトに、政治や経済といった社会テーマから人間ドラマを立ち上げる。2016年に、田中角栄が初の大臣となるまでを描いた「夕闇、山を越える」を上演。続編を望む声が多く、2年ごとに第2話、第3話と発表した。
田中をはじめ、佐藤栄作、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘、竹下登ら実在の首相経験者が実名で登場。政治が生き物のように、生々しく迫ってくる。
今回は20年の三部作一挙上演に続き、第1話の前日譚(たん)となる短編の第0話「やみのおふくろ」を加えた4部作として上演する。中村は「家族・同族というテーマで再構築するあらたな試み」と位置付ける。
第1話「夕闇、山を越える」は、昭和32(1957)年に誕生した岸信介政権のもとでの派閥争いで、田中(狩野和馬)が最年少大臣になるまでの料亭政治が描かれる。第2話「宵闇、街に登る」は、佐藤栄作が禅譲するかに思われた福田赳夫との、世にいう「角福戦争」が軸となる。公私にわたって田中を支え、「越山会の女王」と言われた金庫番の…
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週刊エコノミスト
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