米財政赤字に連動する金価格 市岡繁男
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JPモルガンのダイモンCEOは先日、世界の金融市場は「過去数十年で最も危険な時期」にあると警鐘を鳴らした。「平時では過去最大の財政赤字は、インフレが高止まりし、金利がさらに上昇するリスクを高めている」というのだ。
長期にわたる米国・非金融部門(政府+家計+企業)の債務比率(債務総額÷名目国内総生産)をみると、氏の危惧は当然だ。いまの債務比率は283%で、大恐慌期の1933年以来の水準にあるからだ(図1)。
過去を振り返ると、1929年の株価暴落で、借金で投資をしていた人は全資産の売却を余儀なくされ、その結果、債務残高以上に国内総生産が減少してしまう。そうなると物価の下落で実質金利が上昇し、債務返済は更に難しくなった。そんな時に起きたのが31年9月の金本位制停止だった。中欧で起きた銀行危機が英国に飛び火し、ポンドを売って金に兌換(だかん)する動きが極限となる。やむなく英国はポンドと金の兌換を停止する…
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週刊エコノミスト
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