誰も読めない物価安定目標2%の達成時期 愛宕伸康
総務省が10月20日に発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除くベース、以下CPI)によると、財価格は前年比6.7%と6月のピークから0.7%ポイント伸びが低下しているものの、賃上げの影響を受けやすいサービス価格は、1990年代前半ごろと同じ2%まで上昇している(図1)。
長らくゼロ%近辺で低迷してきたサービス価格に動意がうかがわれることを受けて、市場では今回の高インフレが意外と長引くのではないかとの見方が増えている。「物価安定目標2%」が持続的・安定的に達成されるか判断するに当たって賃金を重視している日銀にとっても、サービス価格の上振れは大きな意味を持つ。
資源価格上昇によるコストプッシュ型のインフレなら資源価格が下落すればインフレ率も低下する。しかし、賃金上昇がサービス価格を高止まらせることになれば、2%の持続的な実現が見えてくるかもしれない。市場では、日銀の「展望リポート」で2026年度の物価見通しを最初に公表する4月の金融政策決定会合のタイミングで、マイナス金利が解除されるとの見方が強まりつつある。
フィリップス曲線で考察
しかし、現在4%を超えるCPIが今後徐々にプラス幅を縮小させたとして、それが2%程度で安定するかどうかを判断するのは至難の業だ。
この…
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週刊エコノミスト
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