新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

経済・企業 独眼経眼

日本の潜在成長率は過小評価されている 斎藤太郎

 

 日銀、内閣府が推計する日本の潜在成長率はいずれもゼロ%台半ばとなっているが、以下に述べるような理由で過小評価されている可能性が高い。

 潜在成長率は概念的には景気循環に左右されないはずだが、実際には現実の成長率の影響を強く受ける。

 潜在成長率は、労働投入量、資本投入量、全要素生産性の上昇率によって決まる。このうち、全要素生産性は一般的に、現実の国内総生産(GDP)から労働投入量、資本投入量を差し引いた残差を平滑化して求められる。このため、現実のGDP成長率が低くなれば、全要素生産性上昇率も低くなり、それに応じて潜在成長率も低くなる。

 また、景気悪化時には設備投資の抑制や雇用情勢の悪化によって、資本投入量、労働投入量が減少し、このことも潜在成長率の低下要因となる。

 たとえば、日銀の推計では、2019年度の潜在成長率は新型コロナウイルス流行前の19年10月時点では0.7%となっていたが、最新(23年10月時点)の推計では0.2%まで下方修正されている。新型コロナの影響で現実の成長率が大きく落ち込んだことに伴い、全要素生産性上昇率が19年10月時点の0.3%から0.0%へと下方修正されたことがその主因である。

 一方、足元の潜在成長率はコロナ禍で0.2%まで落ち込んだものの、その後の経済活…

残り533文字(全文1083文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事