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国際・政治 闘論席

“追放と絶滅”の反復・変奏が世界を覆う 片山杜秀

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

片山杜秀の闘論席

 不都合な人々を追い出すにはどうしたらよいか。

 ロシア帝国の時代には、帝国の版図内のウクライナやベラルーシなどで、ユダヤ人に対してポグロムが繰り返された。ポグロムとは破滅や破壊を意味するロシア語。強くて恐ろしい言葉には違いない。しかもポグロムには、家や家財を壊すだけでなく、虐殺行為も含まれる。だが皆殺しというわけではない。見せしめ的なところが大きい。再び壊されたり殺されたりしては大変だ。警告には早めに従った方がいい。1880年代から1910年代あたりが山だろうか。東方から中欧や米国などにユダヤ人が押し寄せた。

 米国は土地も広ければ労働市場も大きい。移民を吸収できる。ところが中欧はそうでもない。民族的・宗教的対立が大きく育つ。しかもそのときにはもうすっかり20世紀なのだ。文明が進んでいる。何をするにせよ合法的でなければならない。かつてのロシア帝国下のポグロムのように、反ユダヤ的な民衆の勝手なテロ行為なのか、それとも官憲が背後についているのか、曖昧では済まない。

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