史上最も暑かった夏 日本も世界も地上も海面も/166
有料記事
今年の夏は全国的に暑かった。気象庁によれば、15地点の観測値による「平均気温偏差」は今年6~8月、統計がある1898年以降で過去最高のプラス1.76度を記録した(図)。平均気温偏差とは、1991~2020年の30年平均値を基準値として、各年の平均気温との差をとったものだ。
6~8月の平均気温偏差でこれまでの最高は10年のプラス1.08度だったため、今年は一気に大きく上回ったことになる。平均気温の平年差では北日本(北海道、東北地方)がプラス3.0度、東日本(関東甲信、北陸、東海地方)はプラス1.7度となり、いずれも1946年の統計開始以来の最高だった。
さらに、昼間の猛暑は夜間の最低気温にも影響した。新潟県糸魚川市では8月10日、一日の最低気温が31.4度の高さを記録し、全国のこれまでの記録を更新した。また、この日は新潟県上越市の高田で30.8度と観測地点別で歴代2位、鳥取県境港市の境で30.7度と歴代4位となった。
日本近海では海面水温も記録的に高くなった。海面水温は今年春以降、高い状態が続いていたが、今年9月の平均海面水温は平年差がプラス1.6度と、統計開始の82年以降で9月として最も高くなった。なお、9月の平均気温偏差もプラス2.66度と、9月の過去最高を記録している。
今年の冬は暖冬か
世界的にも今年の夏は気象の観測史上、最も暑かったことがデータから裏付けられた。欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は今年9月、6~8月の世界平均気温が16.77度と、観測史上最も高温だったと発表した。
特に、今年7月の平均気温は16.95度と観測史上、最も暑い月となり、8月も16.82度と7月に次いで史上2番目に暑い月だった。地中海沿岸や米国南部では一日の最高気温が45度を超える日も観測され、各地で山火事も発生した。また、海面水温も8月の平均が20.98度と過…
残り610文字(全文1410文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める