米との“長期戦”を意識の中国 首脳会談で関係悪化に歯止めも 河津啓介
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中国の習近平国家主席と米国のバイデン大統領が11月15日、米サンフランシスコ近郊で会談した。習氏の訪米は6年半ぶり。内憂外患を抱える両国が関係悪化に歯止めをかける点で思惑が一致した。
中国メディアは、習氏がバイデン氏から歴史的な邸宅で歓待を受ける様子を「最高の形式」と報じた。米国と並ぶ大国という存在感を内外に示す思惑があったとみられる。米国メディアは、国防当局間の対話再開や薬物対策での協力など、より具体的な合意事項に焦点を当てていた。
一方で、台湾海峡や半導体規制を巡る緊張状態は変わらず、踏み込んだ成果があったとは言い難い。米外交問題評議会のリチャード・ハース名誉会長は評論サイト「プロジェクト・シンジケート」への寄稿(11月17日)で「米中関係は管理すべき問題であって、解決できる問題ではない。依然として激しい競争状態にあり、その課題は会談前と変わらず、衝突を引き起こさないようにすることなのだ」と指摘した。
中国識者の間でも、トップ対話の重要性を認めながら、米国との長期的な競争を意識した論調が目立った。
元駐米中国大使の崔天凱氏は香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』のインタビュー記事(11月20日)で「中米両国は関係を再構築し、今後の正しい付き合い方を模索する歴史的な局面の途上にある」と述べた。国際情勢や米中のパワーバランスが変化する中で、新たな均衡点を見つけるには時間がかかるという見方だ。
北京大学国際関係学院の王緝思教授は評論サイト「中米フォーカス」への寄稿(11月6日)で、最近、訪米した際のエピソードを紹介した。米中関係の方向性について「慎重ながらも楽観」との見方を示した米政府の官僚に対し、王氏は「慎重なだけで、楽観はしていない」と答えたという。中国側の対米不信の根深さがうかがえる。
中国国内では、米国がウクライナでの戦争やガザ情勢の対応に追われ、中国との…
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週刊エコノミスト
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