インフレ軟化の米経済だが生活実感は“不況” 大統領選に影響も 岩田太郎
有料記事
米消費者物価指数(CPI)は10月にガソリン価格下落の影響などで全般に伸びが鈍化し、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの打ち止め観測が高まっている。一方で、インフレが2024年11月の大統領選挙における重要争点となることをにらみ、「消費者の体感としての物価」に関する議論が盛り上がっている。
米ニュースサイトの「クオーツ」は11月14日付の記事で、「統計上のインフレの落ち着きや、(7~9月期に速報値で前年同期比4.9%の伸びを記録した)国内総生産(GDP)の高成長率は、実は重要ではない。誰もが認識しているが無視されている肝心な問題は、消費者が暮らし向きをどう感じているかだ」との見解を示した。
同記事は、「アナリストたちは(インフレ上昇率の鈍化や米国の高いGDP成長率などで)経済がうまくいっていると世論を納得させようとしているが、家賃は過去3カ月連続で上昇し、中小企業の先行きの見通しも楽観的ではないなど、人々はパンデミック以前より経済が悪くなったと感じている」と指摘した。
米政治サイトの「ポリティコ」は11月14日付の分析記事で、「民主党系のシンクタンクが9月に実施した世論調査では、回答者に対してインフレ率の顕著な下落や歴史的な低水準にある失業率などが明確にあらかじめ説明されたにもかかわらず、10人中7人が『経済はよくなっていない』と答えた。その結果を知らされたホワイトハウスや民主党議員団および党幹部はショックを受けた」と報じた。
ポリティコの記事は、「インフレが軟化しても、有権者はバイデン政権の失政で食料品やガソリン、家賃や住宅価格が高止まりしていると固く信じている」と分析した。
この世論調査を実施した「進歩派変革キャンペーン委員会」のアダム・グリーン共同創立者は同記事で、「民主党は人々に『バイデン政権の下で経済はよくなった』というメッセージを押し付けるのをやめ、彼…
残り623文字(全文1423文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める