ハマスの大規模テロめぐり意見割れるEU 欧州首脳のイスラエル連帯に批判も 熊谷徹
有料記事
イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの戦争をめぐり、欧州連合(EU)加盟国の間で意見が割れている。ハマスの大規模テロでは、イスラエル人ら約1400人が殺され、約230人が誘拐されてガザに監禁された。これほど多数のユダヤ人が殺されたのは、1940年代のホロコースト(ナチスによるユダヤ人虐殺)以来初めて。イスラエル軍はガザに激しい爆撃を繰り返し、民間人に多数の死傷者が出ている。
カタールの放送局アルジャジーラは10月30日、「ガザ保健省によると、過去3週間のイスラエルの攻撃によりパレスチナ人8005人が死亡した」と報道。死者の少なくとも約2400人が子どもで、負傷者数は約1万8000人にのぼるという。
独保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は10月18日付紙で、ショルツ独首相のイスラエル訪問について、「首相は、ハマスの蛮行を強く糾弾し、イスラエルを全面的に支持する姿勢を表明。首相は、イスラエルには自衛権があると述べるとともに、『イスラエルの安全を守ることは、ドイツの国是の一部だ』と強調した」と伝えた。ドイツの歴代政権は、ナチスが約600万人のユダヤ人を虐殺したことに対する反省と責任感から、中東紛争ではイスラエル側に立つという姿勢を貫いてきた。ガザでの一時的戦闘停止に関する国連決議の採決でも、「ハマスを名指しして非難していない」との理由で棄権した。
伝統的にアラブ諸国と関係が深いフランスも、今回はイスラエル支持の姿勢を明確に打ち出した。独日刊紙『南ドイツ新聞』の10月24日付電子版によると、テルアビブを訪れたマクロン仏大統領は、ネタニヤフ首相に連帯と支援を約束。マクロン大統領は「ハマスは非理性的であり、パレスチナ人の大義を代表していない」と非難するとともに、テロ組織イスラム国(IS)と戦うために2014年に米国中心に結成され…
残り663文字(全文1463文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める