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教養・歴史 著者に聞く

DIY初心者の著者が娘のために小屋を手作り「買わなくてもいい自由」を獲得 藤原秀行

『自由の丘に、小屋をつくる』

著者 川内有緒さん(ノンフィクション作家)

 著者は米国のコンサルティング会社やパリの国連機関など多彩なキャリアを経て、ノンフィクション作家として活躍。作品の多くは規格外の人物の独創的な生き方や考え方から社会や人間の真実を浮き上がらせ、読み手を強く引き付けている。

 例えば、前作の『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』(集英社インターナショナル)は全盲の白鳥建二さんに同行して絵画や彫刻を楽しんだ経験を基に、鑑賞者がどのように美術作品を見ているのかという斬新な視点を読者に提示。「Yahoo!ニュース 本屋大賞ノンフィクション本大賞」を獲得した。

「既成概念にとらわれない個性的な人に魅(ひ)かれます。こんなふうに生きられるんだと新しい世界が開け、自分自身の人生も良い方向に変えていけるからです」

 最新作は本格的なDIY体験ゼロの著者が山梨で小屋作りに挑んだ“ものづくりエッセイ”だ。協力しようと集まったのは発酵食品のデザイナーにメキシコでホテルを作ろうと奮闘する建築士ら、明るく個性豊かな知人たち。人を愛する著者のまなざしは本作にも受け継がれている。

「都会生まれの一人娘に『自然のある田舎のような場所』を作ってあげたいと思ったんです。私自身は家を建てるプロセス自体を楽しみたかった。別荘を買うのではなく、あくまでセルフビルド(自身での製作)にこだわりました」

 そのきっかけは、東日本大震災で電力や物資が不足しても自分は何も生み出せないという無力さを実感したことだった。DIY教室に通って基礎を学び、当時1歳だった娘さんに木製の小さな机を製作した。

「この子に何を授けてあげられるかを考えた時に、机を作ることを思いつきました。自分にも消費するだけではなくて、何かを生み出す力があると信じたかった」

 その後は実家のリノベーションを経て小屋作りに着手。仕事と子育てをこなしつつ、…

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