中国の不動産不況打開のカギは改善的需要=リフォーム需要にあり 真家陽一
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主要国際機関の予測では、中国の2023年の実質GDP(国内総生産)成長率は5%台に回復し、政府目標(5%前後)は達成されると見る向きが多い。国家統計局の盛来運副局長は第1~3四半期(1~9月期)の成長率が5.2%となったことを受け、「第4四半期の成長率が4.4%以上であれば、通年で5%前後が確保される」との見通しを示した。
他方、24年の成長率は4%台に減速すると予測されている。要因として指摘されるのが、不動産セクターの低迷という、中国経済が抱える構造問題だ。特に中長期的な観点からの懸念が、人口動態から見た不動産需要の減少だ。
中国では、住宅は結婚時(30歳前後)に購入するのが一般的なことを踏まえ、国連の「世界人口推計2022年版」を基に25~34歳を対象として人口変化を見ると、住宅購入年齢層の人口は16年まで増加基調で推移してきたが、「一人っ子政策」による産児制限を背景に、17年以降は32年まで減少が続き、この16年で3割減少すると見込まれている。中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は「中国の不動産市場は20年余りの長期にわたる繁栄を経て、重大な転換期を迎えており、新たな均衡点を探している」と指摘している。
こうした状況を踏まえ、中国共産党中央政治局は7月24日、習近平国家主席の主宰で、下半期の経済運営に関わる会議を開催。不動産市場の需給関係に重大な変化が生じている新たな情勢に適応すべく、不動産政策を調整・最適化し、不動産市場の安定的で健全な発展を促進していく方針を示した。
具体的には、住宅に対する「硬直的需要」(住宅を持たない人の住宅需要)と「改善的需要」(現在の住宅環境をより良くするための需要)を満たすことや、①保障性住宅(政府が低中所得世帯に提供する賃料等が限定された住宅)の建設・供給の拡大、②城中村(都市の中で発展から取り残された地域)の再開発、③平時・緊急時両…
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週刊エコノミスト
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