「EUAIA対応のAIEO」 略語が飛び交うDCで駆け引きが始まる 嶋田恵一
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ワシントンDCで会話をしていると、言葉の頭文字による略語(アクロニウム)がよく出てくるため、事前に勉強をしておかないと話についていけないことが多い。代表的なものとしては、政府機関の略称が挙げられる。議会の法案などに対しても略語が使われることが多い。
最近の例では2023年11月14日に米下院で可決した連邦政府の当面の運営支出を賄う「つなぎ予算案」は英語で「Continuing Resolution」であるがこれは「CR(シーアール)」と呼ばれる。例えば「今回のCRはいつまで有効ですか?」という会話が展開される。
大統領令(Executive Order)を示す「EO(イーオー)」もよく使われる。最近は「AIEO(エーアイイーオー)」という略語を聞くことが多くなった。これは、23年10月30日にバイデン政権が発令した「人工知能の安心、安全で信頼できる開発と利用に関する大統領令」を指す。つまり、人工知能(AI)に関わる大統領令「EO」である。いきなりAIEOと言われても、分からないと思う。これに欧州のAI規制法案(EU AI Act)を指す「EUAIA」が絡むと、私は混乱してしまう。
なお、AIEOは8分野で、25以上の省庁、機関、諮問機関に対して期限を設定し、具体的な対応を要請している。「DOC」(商務省)には、AIの安全性・信頼性の向上および最先端AIの評価基準策定を要請しており、これに対応する組織として、同省は傘下の「NIST」(米国立標準技術研究所)に「USAISI」(US AI Safety Institute=米国AI安全性研究所)を新設した。「EUAIAに対応し、発令されたAIEOに従い、DOCのNISTにUSAISIが設立された」のである。
議会では上下院で、広範なAI関連法案が70件以上提出されており、ここでも略語が使われている。AI規制議論を主導しているの…
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週刊エコノミスト
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