実質価格が高値未更新の金とドル・円相場の不思議な関係 市岡繁男
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日米の資金循環統計によると、ITバブルが崩壊した2000年3月~昨年までの23年間に、米連邦準備制度理事会(FRB)の資産は約11倍、米国債は約7倍に拡大した。日銀の資産は約7倍、日本国債は約3倍の増加だ。かくも膨張する日米通貨に対し、物理的に供給が限られる金の価格は約7倍、円建てだと約10倍の急騰だ。金を基準に考えた場合、この23年間でドルの購買力が7分の1、円は10分の1に低下するインフレになったのである。
いま、日本の金価格は1グラム=1万円(税込み)を超えている。だが物価上昇を考慮した実質価格では、まだ1980年の第2次オイルショック末期につけた高値を更新していない(図1)。このことはもう一段の上値余地があることを意味する。
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週刊エコノミスト
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