日銀が保有する株式ETF（上場投資信託）は約31兆円の含み益がある（図1）。2013年からの10年半に約36兆円を投じて購入したETFが1.8倍になった計算だ。他方、同期間に購入した約488兆円の国債は推定9兆円の含み損を抱えている。とはいえ、株式ETFと合わせると22兆円のお宝があるわけで、日銀はいま世界一裕福な中央銀行だといえよう。

　だが、この富は自らが国債を買い支えることで生じた幻のようなものだ。日銀は国債発行残高の約6割を保有しているが、その購入ペースを緩めた途端に長期金利は上昇し、株価も下落するだろう。そうなれば日銀が保有するお宝は、一転、巨額の不良資産と化す可能性がある。