日本株の持続的上昇を促す海外マネー流入の5大要素 渡辺浩志
新NISA(少額投資非課税制度)元年を迎え、年初から日本株が急騰している。だがこの間、個人投資家は日本株を売り越している。急騰の原因はもっぱら海外投資家の買い越しにある。海外マネーの流入要因は、主に次の5点がある。
第一は「企業の経営改革」だ。昨年3月の東証の資本効率改善要請に、多くの企業が自社株買いや増配などの株主還元で応えた。成長戦略を打ち出し、情報化投資や人への投資を積極化する企業も増えている。こうした点が、変革を好む海外投資家を引きつけている。
第二は「賃金・物価の好循環」だ。人手不足の下での人材確保のため、今年の春闘では前年を上回る賃上げ率が実現する見込みだ。物価上昇を上回る賃上げで個人消費が上向けば、企業は値上げで利益を確保でき、さらなる賃上げへ向かいやすくなる。デフレからの完全脱却と経済活動の活発化に海外投資家は期待を寄せている。
第三は「低金利政策とインフレ」だ。これにより実質金利はマイナスが続き、家計の現預金の価値は目減りしている。株式などのインフレに強い資産を持つことが切実な課題となるなかで新NISAが始まった。個人マネーが貯蓄から投資へと大移動する可能性に、海外投資家は大いに注目している。
中国から逃げて日本へ
第四は「脱中国」だ。チャイナリスクを警戒し、世界のマネーが中国から脱出している。対中直接投資は急減し、昨年7~9月期に初のマイナスに転じた。また、かつ…
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週刊エコノミスト
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