『母の最終講義』 最相葉月著 ミシマ社 1980円
『母の最終講義』 最相葉月著 ミシマ社 1980円
秀逸なノンフィクションを多数世に出してきた著者の最新刊は、自身の歩みや取材の思い出などを振り返ったエッセー集だ。病気の父と認知症の母の介護に疲弊しながらも、ヘルパーら関係者の助けを借りて困難を克服。「母が身をもって私を鍛えてくれていると思えるようになった」と前向きな姿に感銘を受ける。東日本大震災の被災地での心のケア活動など、社会のさまざまな場面で奮闘する人々に思いをはせていて、視線の優しさが非常に滋味深い。(W)
週刊エコノミスト2024年4月16・23日合併号掲載
『母の最終講義』 最相葉月著 ミシマ社 1980円