新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 アートな時間

初恋の2人が12歳で別れて12年、また12年……再会をめぐる機微を描く 野島孝一

Copyright 2022©️ Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
Copyright 2022©️ Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved

映画 パスト ライブス/再会

 アメリカ在住のセリーヌ・ソン監督が、自らの経験に基づいて撮った作品。題名は「Past Lives」だが、カタカナにしたので、かえってわかりにくい。セリーヌ・ソン監督は幼いころ韓国からトロントを経てアメリカに移住した。父は映画監督のソン・ヌンハンで、「ナンバー・スリー」という映画で新人俳優だったソン・ガンホを起用し、有名にした。この映画でもナヨンという少女の父親は映画監督ということになっている。

 韓国のソウルで暮らす女の子ナヨンと男の子ヘソンは幼なじみ。12歳になった2人は互いに恋心を抱いているが、ナヨンは家族と共にカナダに移住した。

 それから12年たち、ノラと名を変えたナヨン(グレタ・リー)は作家となりニューヨークで暮らしている。ヘソン(ユ・テオ)は兵役を終え、ソウルでサラリーマンになっていた。

 2人はオンラインで連絡を取り合うようになった。互いの恋心は変わらないが、遠距離恋愛のため新たな一歩を踏み出すことはできなかった。

 その12年後、ヘソンはニューヨークに行き、ノラと再会するが、ノラはすでにユダヤ系作家のアーサー(ジョン・マガロ)と結婚していた。ヘソンにも恋人がいたが、別れて今は独り者だ。ノラはヘソンを連れてニューヨーク観光をする。ノラの夫、アーサーは複雑な心境だ。ノラの初恋の相手に嫉妬しているとは思われたくない。でもノラがヘソンを追って韓国に行っては困る。ニューヨークのバーで、3人は酒を酌み交わすが、ぎこちなく気まずい空気が流れる。そういう微妙な感覚がリアルで、いかにもありそうなこととうなずかされる。

 この映画は、格別な劇的ストーリーがあるわ…

残り511文字(全文1211文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事