弱小高校男子バスケ部の実話が下敷きの心地良いスポーツ青春映画 寺脇研
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映画 リバウンド
大谷翔平選手の結婚相手が元バスケットボール選手だったことで、この競技にも注目が集まっている。彼女の所属していたチーム富士通レッドウェーブが、2023年10月~24年4月の半年間にわたって覇権を争う女子「Wリーグ」14チームのひとつだと聞いて、恥ずかしながら、日本におけるバスケのプロリーグの存在を初めて知った次第である。
男子は「Bリーグ」の前身が05年創設だが、韓国では1996年にプロ化されており、10チームが全国各地に散らばり人気を集めているという。この映画は、そのプロリーグKBLを目指す男子高校生たちの物語である。2012年に大きな話題を呼んだ弱小高校チームの全国大会での快進撃実話を、みごとに再現してみせた。
とはいえ、決して順風満帆な進撃ではない。高校時代全国優勝のヒーローだったのにプロではさえない2軍選手で終わった主人公が、今や落ちぶれた母校バスケ部コーチに就任するところから始まるのだが、部員はたった2人の有り様で、まずはメンバー集めに奔走だ。意中の有望選手を得たものの、親の意向で常勝名門高校に転校されてしまうなど悲哀を味わう中、苦心惨憺(さんたん)の末、頭数をそろえる。
しかし初陣の大会では、常勝校に全く歯が立たぬだけでなく、試合中に騒ぎを起こして6カ月間出場停止処分を受けてしまう。選手はバラバラ、応援する保護者たちからも見放され廃部の危機に突き落とされるのだ。さあ、そこからどう立ち直っていくのか……。
「リバウンド」とは、バスケ用語でゴールリングを狙ってシュートした球がリングに入らず跳ね返ってきたのをつかみ取る行為を意味するそうだ。つまり、こぼれ球。…
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週刊エコノミスト
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