新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

国際・政治 論壇・論調

バイデン政権の対中関税引き上げに「自由貿易時代の終わり」の指摘も 岩田太郎

ホワイトハウスで2024年5月、対中関税率引き上げについて記者説明するタイ米通商代表(Bloomberg)
ホワイトハウスで2024年5月、対中関税率引き上げについて記者説明するタイ米通商代表(Bloomberg)

 米バイデン政権は5月14日、米国が不公正だと見なした国に対し報復関税を課すことができる通商法301条を発動し、中国から輸入される電気自動車(EV)、バッテリー、半導体、鉄鋼・アルミニウム、医療品などの関税率引き上げを発表した。新たな対中関税が米消費者や企業に与える影響に関して議論が起こっているが、立場によって温度差が見られる。

 イエレン米財務長官は5月14日に出演した公共放送PBSの番組で、「対中追加関税が、米消費者の直面する物価を大幅に上昇させるとは思わない」と述べ、逆に関税が「米企業と労働者を守る」「長期的には生産価格を下げる」との考えを示した。

 こうした見解に対しては、政権の「身内」である一部の民主党政治家からも異論が出ている。そのひとり、西部コロラド州のジャレッド・ポリス知事は5月14日にソーシャルメディアのⅩで、「米消費者にとり、ひどい知らせだ。関税引き上げは、米国人に対する直接的かつ逆進性のある課税に等しく、すべての世帯が悪影響を被る」と投稿した。

 また、米国服装靴類協会(AAFA)のスティーブ・ラマー会長も同日付の声明で、「アパレルや靴類、アクセサリーや繊維に対する通商法301条の広範な適用の継続は米消費者と米製造業に大きな打撃だ。輸入業者や製造企業は、関税を値上げの形で消費者に転嫁せざるを得ないからだ。米世帯が物価高にあえいでいるタイミングでの必需品に対する追加関税は、まったく必要がない」と述べた。

 一方、中国からのパネル製品との競争にさらされている米太陽エネルギー産業協会は5月14日付の声明で、「関税引き上げが米製造業者の経営状況の改善に役立つことは明らかだ…

残り694文字(全文1394文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事