実は身近にあるラテン語 名言・名句の宝庫 本村凌二
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高校生のころ、『大学でいかに学ぶか』(講談社現代新書)という本を読んだことがある。当時一橋大学の学長だった増田四郎先生が書かれたものだが、そのなかで「人文・社会系に進む学生は、ともかくラテン語を学習しなさい」という趣旨のおすすめがあった。それがひどく印象に残ったせいか、とりあえず大学でラテン語初級・中級を学ぶことにした。
たまたま書店で手にとったラテン語さん著『世界はラテン語でできている』(SB新書、990円)は、かなり売れているらしい。「時空を超えて生き続けるラテン語の魅力と発見が炸裂(さくれつ)する一冊」が謳(うた)い文句という。
ラテン語そのものは知らなくても、たとえばカエサルが「賽(さい)は投げられた」と言ってルビコン川を渡ったことはよく知られている。ラテン語では「Iacta alea est」であり、「もうすでに我々は後戻りできない状態にあるから、ローマに進軍しよう」という意味合いがある。
ところが、別伝では「賽は投げられたことにせよ(Iacta esto alea)」とあり、「後戻りできない重大なことを我々は行うことになるというのは分かっているが、もうやってしまおう」と奮発の意味合いが出てくる。
また大学のキャンパスでは、ときどきラテン語の碑文を見かけることがある。慶応義塾大学では、「HOMO NEC ULLUS CUIQUAM PRAEPOSITUS NEC SUB…
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週刊エコノミスト
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