教養・歴史 書評

実は身近にあるラテン語 名言・名句の宝庫 本村凌二

『世界はラテン語でできている』(SB新書、ラテン語さん著、990円)
『世界はラテン語でできている』(SB新書、ラテン語さん著、990円)

 高校生のころ、『大学でいかに学ぶか』(講談社現代新書)という本を読んだことがある。当時一橋大学の学長だった増田四郎先生が書かれたものだが、そのなかで「人文・社会系に進む学生は、ともかくラテン語を学習しなさい」という趣旨のおすすめがあった。それがひどく印象に残ったせいか、とりあえず大学でラテン語初級・中級を学ぶことにした。

 たまたま書店で手にとったラテン語さん著『世界はラテン語でできている』(SB新書、990円)は、かなり売れているらしい。「時空を超えて生き続けるラテン語の魅力と発見が炸裂(さくれつ)する一冊」が謳(うた)い文句という。

 ラテン語そのものは知らなくても、たとえばカエサルが「賽(さい)は投げられた」と言ってルビコン川を渡ったことはよく知られている。ラテン語では「Iacta alea est」であり、「もうすでに我々は後戻りできない状態にあるから、ローマに進軍しよう」という意味合いがある。

 ところが、別伝では「賽は投げられたことにせよ(Iacta esto alea)」とあり、「後戻りできない重大なことを我々は行うことになるというのは分かっているが、もうやってしまおう」と奮発の意味合いが出てくる。

 また大学のキャンパスでは、ときどきラテン語の碑文を見かけることがある。慶応義塾大学では、「HOMO NEC ULLUS CUIQUAM PRAEPOSITUS NEC SUB…

残り424文字(全文1024文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月8日号

いまこそ始める日本株第1部18 金利復活で「バリュー株」に妙味 高配当株や内需株が選択肢に■中西拓司21 「雪だるま式」に増やす 配当重視で3大商社に投資 株式で現役時代上回る収入に ■鈴木 孝之22 プロに聞く 藤野英人 レオス・キャピタルワークス社長「銘柄選びは身近なところから学び得るのも投資の [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事