週刊エコノミスト Online 生成AIアンケート

生成AI利用料「月3000円以下なら個人で払う」は企業従業員の29% 編集部

生成AIの活用は着実に進んでいる(Shutterstock)
生成AIの活用は着実に進んでいる(Shutterstock)

 生成AIの活用はまだ全体の2割だが、利用者はその効果を実感している。

作業効率の向上を7割が実感

 企業の従業員の間で、生成AI(人工知能)の活用が少しずつ進んでいる。クラウドシステムや生成AIを手掛けるFIXER(東証グロース市場)が実施したアンケートによると、「将来的に生成AIサービスに利用料を支払ってもよい」とした人が4割を超えた。生成AIを実際に利用している人は現時点では2割強にとどまっているものの、利用者の間では作業効率の向上を実感した人は7割に達している。

 FIXERは企業向けクラウドシステムのほか、入力したデータが外部に漏れないよう安全性を高めた生成AIプラットフォームを提供している。調査は従業員300人以上の全国の企業の従業員を対象に6月6~7日に実施し、1000件の回答を得た。情報・通信のほか、金融・保険、不動産、流通・小売りなどの企業が対象となった。

 アンケートで「生成AIを利用しているか」と聞いたところ、「私用でも業務でも利用している」は6%だった。「業務では利用しているが、私用では利用していない」は9.1%、「私用では利用しているが、業務では利用していない」は8.5%に達した。「私用でも業務でも利用していない」人は76.4%、何らかの形で利用している人は23.6%だった(図1)。

労働時間の削減は6割

 生成AIを利用している人に「作業効率の向上を実感したか」と聞いたところ、「大いに実感した」は21.2%だった。「ある程度実感した」(47%)を合わせると、回答者の7割近くにのぼった(図2)。資料や稟議(りんぎ)書などの作成では、生成AIが文章の原型を数十秒で作ってくれるケースも多い。ゼロから資料を作成するのに比べて大幅な時間短縮が期待でき、仕事の生産性が高まるとみられる。

 生成AIを利用している人に「労働時間の削減について効果を実感したか」と聞いたところ、「大いに実感した」は22.5%、「ある程度実感した」は40.4%に達した。効果を実感した人の割合は合計で62.9%にのぼった(図3)。

 生成AIを利用したことで「コミュニケーションに充てる時間が増えたか」については「大いに実感した」(16.6%)、「ある程度実感した」(29.1%)の回答を合わせると半分近くに達した。生成AIを利用したことで「専門外のことに挑戦できるようになった」は「大いに実感した」(19.2%)、「ある程度実感した」(25.8%)も合計で4割超に達している。これらの結果から新技術の活用で作業効率が向上したことにより、ほかの仕事などに充てられる時間が増えていると見られる。

「生成AIでどのようなことができたらよいか」との質問に対しては「文書の自動生成」が57.3%でトップ。「パワーポイントなどの資料の自動生成」(42.1%)、「エクセル表の自動作成」(41.9%)も4割を超えた(図4)。会社員の間では、社内外でのプレゼンテーションや営業、IR(投資家向け広報)活動などに使う資料を作成するニーズが多いようだ。

「高品質な動画/画像の生成」「人間と遜色ないレベルの会話」「自分専属の秘書としてのサポート」といった回答も2割以上の比率を占めた。

「1000円以下」15%

「将来的に個人で生成AIサービスにお金を支払う場合、月額いくらまでか」との質問に対して「将来も支払う気はない」とした人は57.1%にとどまった。42.9%の人は個人での支払いについて否定しておらず、新たな技術を自身のより良い生活につなげようとしているようだ。

支払う金額については「1000円以下」が最も多く、15.8%に達した。料金がかかるとしても、一定の範囲に収めたい人が多いことがわかる。「1001~3000円」(13.2%)、「3001~5000円」(8.1%)で続いた。「5001~1万円」「1万1円以上」はそれぞれ3.3%、2.5%にとどまった(図5)。

(編集部)


週刊エコノミスト2024年8月6日号掲載

「個人で利用料払う」は4割超 作業効率の向上を7割が実感=編集部

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