バージニア州も学校でのスマホ規制へ 根拠はメンタルと学業への悪影響 井上祐介
米バージニア州の共和党・ヤンキン知事は7月9日、学校でのスマートフォン使用の制限・禁止を呼び掛ける知事令に署名した。州教育局にスマホのない教育環境の実現に向けたガイドライン策定を指示し、2025年より導入する計画である。
これまでも州内の学校や校区レベルでのスマホ制限は実施されており、必ずしも新しい話ではない。一方で、昨年はオクラホマ、フロリダ、オハイオなどでも同様の動きがあり、州レベルで対処すべき問題に発展している。ちなみに、ヤンキン氏は元々、教育政策を争点に掲げて民主党候補を破り、21年に当選した経緯がある。
ヤンキン氏は今回の措置に踏み切った理由として、子どものメンタルヘルスへの影響を挙げている。アメリカ心理学会の調査では、米国の未成年者がソーシャルメディア(SNS)に費やす時間は平均で1日当たり4.8時間だが、1日3時間を超えるとメンタルヘルスが悪化する可能性が2倍になるとされている。また、米疾病対策センター(CDC)の調査では、若年層の自殺率やうつ病の発生が2倍以上に増加しており、スマホの使用がその一因になっているとの見方がある。
スマホ禁止が進むもう一つの理由が学業への影響である。生徒の授業への集中に不可欠な措置であるとの考えだ。6月のピュー・リサーチ・センターの調査結果では、米国の高校教師の72%がスマホが授業の進行の妨げになっており、大きな問題として挙げている。規則を設けても使用は後を絶たないのが実態のようだ。
親の反応はさまざまだ。スマホの弊害に共感し、制限措置の導入を歓迎する意見がある。一方で、教育はそもそも地域や保護者が決めるべき問題との考えが根付いてお…
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週刊エコノミスト
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